SL煙突[★★]

【道具解説】 ひみつ道具である『SL煙突』を被ると、「だれでもSLみたいに力強く、たくましくなる」ことができる。「SL煙突」に石炭を入れ、次ぎに、水を入れると蒸気が上がってくる。

 

【使用目的】 明日の校内マラソン大会に備えて、トレーニングウエアに着替えたジャイアン、スネ夫、しずちゃんが盛んに町内を駆け回っていた。ドラえもんが家に帰ると、のび太はゴロンと横になってテレビを見ていた。

 

  のんびりしているのはのび太だけだと言うと、のび太は「トレーニングなんかしてもしなくても、ぼくがビリにきまってる。むだなことしない主義なんだ」と答え、ドラえもんをがっかりさせている。

 

 テレビの画面では、SLが大きく映ってダイナミックに走っている。のび太はSLが大好きである。ドラえもんは「人間は自分が持っていないものに、強くあこがれるものさ。いかにも男性的でたくましくて、力強くてダイナミックで、エネルギッシュでスピード感にあふれていて、まるっきりきみと正反対だもんね」と告げている。

 

  マンガのコマでは、でっかい絵文字の擬音語「グサ」が描かれ、さらに、のび太の心臓には、これまた大きな短剣がぐさりと刺さった絵が描かれている。のび太は「ウ…、ク、ク、ク…」としゃがみ込んで、しばらくの間満足に立ち上がれなかった。ドラえもんは「ぼくのことばそんなにいたかった? ごめん、いいすぎた」と反省し、ひみつ道具である『SLえんとつ』を取り出してくれた。

 

【使用結果】 この道具を被れば、SLのように力強くたくましくなれるので、ママから頼まれた買い物に活用した。すごい迫力で走り回ることができ、のび太は明日のマラソン大会に優勝できるのではないかと思った。

 

  早速、のび太は明日のマラソンに備えて、ジャイアン、スネ夫、しずちゃんに町内マラソンを提案して、競走することになった。のび太はダイナミックでエネルギーに満ちあふれ、ジャイアンやスネ夫を全く問題にしないダントツの速さでゴールを駆け抜けた。しずちゃんからも、のび太さんすてきと絶賛された。

 

 エネルギーがまだ余っていたので、そのエネルギーを勉強の方に回すことになった。家の中で勉強すると、煙が家の中に充満して少し窓を開けた。しばらくすると、近所の人々から「煙をだして走りまわると洗たく物がススだらけ、へやの中までまっ黒け。二度とあんなもの使わないでくれ」との抗議が殺到した。

 

  ドラえもんが「時代の流れだなあ、やはりSLは消えてゆくのか…」と思案に暮れていた。かたわらで、のび太は「あすのマラソンどうなるの!?  リニアモーターカーのえんとつをかして!!」とドラえもんに泣きつくのであった。

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SL」とは、蒸気機関車を意味する。