宇宙救命ボート[★★]

【道具解説】 ひみつ道具である『宇宙救命ボート』は全自動で、ひとりでに人間の住める星へ連れて行ってくれるものである。

 

【使用目的】 ドラえもんは、地球がもし爆発したら逃げ出すことができるように、ひみつ道具である『宇宙救命ボート』を点検しながら、掃除をしていた。全自動が特徴で、ひとりでに人間の住める星へ連れて行ってくれるボートである。

 

  ボートの中には、ひとつだけボタンがあったので、のび太はいじくって「パチ」とボタンを押してしまった。宇宙なんかへ行きたくなかったけれども、全自動であるため、ワープで超空間に入ったりして、目的の星に、「ドッカ~ン」と激突してしまった。

 

【使用結果】 激突現場にひとりの女の子が現れ、二人を家まで案内し、食事をごちそうしてくれた。「宇宙救命ボート」で脱出したため、地球は爆発したものと思われたが、そうではなかったので、ドラえもんは「もうばかばかしくてお話にもなんにも…」と口ごもらざるを得なかった。

 

  しかし、女の子からボートが直るまで、「よかったらうちでくらさない?」と誘われたので、その言葉に甘えることになった。ドラえもんが修理で忙しそうであったので、のび太が「てまどりそう?」と尋ねると、「でたらめにいじってみてるんだ。永久になおらないかもしれない」という頼りない返事が返ってきた。

 

  その時、家の前で拳銃の音が「ドギ ドギューン」と鳴り響いた。この家のパパが拳銃で撃たれたけれども、膝をかすった程度の傷であった。新聞記者であるパパがシンジケート追放のキャンペン記事を連載しているために、拳銃で襲われたという真相が明らかになった。

 

 翌朝、女の子が家の前で誘拐されてしまった。しばらくすると、脅迫状が届き、娘を無事に返してほしければ、これ以上シンジケートの記事を連載するなと書かれたあった。のび太が許せないと激昂すると、のび太は家の屋根を「ドカーン」と突き破り、空中を「フワ フワ」と漂った後、「フワリ」と大地に着陸することができた。

 

  この星の引力は地球よりもはるかに弱く、強くする必要がないため、コンクリートも柔らかく、ピストルの弾も「ホップコーン」みたいに「ぺシャ」と潰すことができた。

 

地球人よりもはるかに弱いことが分かったので、スーパーマンとそっくりなコスチュームを着たのび太は、子どもを誘拐された両親に「地球からきたノビタマン」であると自己紹介している。シンジケートの本部の建物に「ドカン」と突入し、「正義の味方、ノビタマン!!」と名乗りながら、ギャングたちの激しいピストルの攻撃をものともせず、戦いを挑んでいる。

 

地下室に閉じ込められたいた娘さんを無事救出し、本部の建物も発泡スチロールの如く木っ端みじんに粉砕してしまった。

 

 ノビタマンは今やこの星の英雄であり、連日テレビや新聞に登場し、地球では考えられない、ノビタマンの映画化も決定する状況である。のび太も「どうしてもボートがなおらなければ、ここでくらしてもいいんじゃないか」と思い始め、ドラえもんも同じような心境になっていた。

 

  「思えば不思議な運命のいたずらであった」と言いながら、「宇宙救命ボート」に乗りこみ、「なにげなく、このボタンをおしたばかりに…」と「パチ」と押すと、「ヒョロロオ」といつのまにか直り、地球に戻ることができた。机の前で勉強をしていると、窓の外から、ジャイアンに「おうい、まだ宿題終わらないのか。のろま!!」と言われた。

 

  のび太は「ドラえもんが、ボートをなおしたりするからだ」と抗議すると、ドラえもんも「きみがボタンをおしたからだ!!」と怒りを込めて反撃している。

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