E.S.P.訓練ボックス[★★★]

【道具解説】 ひみつ道具の『E.S.P.訓練ボックス』は、三つの超能力(念力・透視・瞬間移動)を育てることができる。一人前になるには、毎日三時間訓練して、三年もかかるのが欠点である。

 

【使用目的】 はる夫が明らかに正しかったのに、のび太はジャイアンに脅されて、ジャイアンのほうが正しいと言ってしまった。「ジャイアンがこわいばっかりに心にもないことを」言ってしまったと、ドラえもんに白状したあと、机の前にすわり頭を抱えながら、「正義を守るにも力がいるんだなあ」とつぶやいていた。

 

  ドラえもんにはひみつ道具『E・S・P訓練ボックス』があったけれども、長い訓練が必要であるため飽きっぽいきみにはとても無理だというと、のび太は「やる!!正義のためなら」と力説するので、出すことにした。

 

【使用結果】 最初は念力で、心の中で「動け動け」と命令して、手を触れずにものを動かす力を獲得するものである。目の前の「E.S.P.訓練ボックス」に動け、動けと何度念じても動かないので、透視の方を先にやることになった。「ボックス」をにらみながら、「みえろ」「みえろ」と繰り返した。しばらくすると、「ピク ピク スウ」と動いた。触りもしないで動いたが、念力をやめて透視をやっていたときであった。のび太は十分前の念力がいまとどいたと喜んでいた。

 

瞬間移動は「物体を、または自分を、一瞬で他の場所に移す能力である。ボックスに「うつれ…」、「うつれ…」と繰り返していると、ボックスの中が透けて見えた。十分遅れの透視であった。「エスパーのび太だぞ、ウハウハ」と喜んでいたら、目の前のボックスが「パッ」と消えてしまった。「移動したんだ!! テレポーテーションだ!!」と喜んでいたが、ドラえもんから「どこへボックスが」と問われても、のび太はとくに考えていなかった。

 

ドラえもんから「無責任だ!! 探してこい!!」と命令され、「自分がまだへたくそだってこと、くれぐれも忘れずに」と注意されながら家を出た。

 

 十分待てば超能力が働くから、「しずちゃんの家にうつれ…。うつれ…」と繰り返していると、しずちゃんがなにしているのと聞いてきたので、「ぼくすごい力を…」と言い終わらないうちに、「パッ」と消え、「ザブン」としずちゃんの浴槽に飛び込んでしまった。しずちゃんのママから「あら、のび太さん」と驚かれたが、「話せば長くなるのでしつれいします」と家を出ている。のび太は反省しながら、なくなった訓練機をまじめに探そうとした。

 

  すると、ジャイアンに往来であったので、こんな丸い箱見なかったかと尋ねると、「ギク」としたが、「そんなものしらんしらん」と言って通り過ぎようとした。怪しいとにらみ、ふくらんだポケットを透視で「みえろ…。みえろ…」と何度も繰り返した。「つけてくるな!!」と脅されたので、断念すると、そこへしずちゃんがやってきた。しずちゃんを見ると、のび太が「ワッ」と驚いたのは、十分遅れの透視のためであった。

 

 ジャイアンがスネ夫と拾った訓練機を何に使うものかと話し合っていた。のび太は塀のかげから、二人を念力でぶっ飛ばすために、念じ始めた。あと五秒、四、三、二、一と念じ終わると、しずちゃんがやってきて、しずちゃんをぶっ飛ばしてしまった。飛んでいくしずちゃんをタケコプターで追いかけながら、ドラえもんから「だから、三年早いといったんだ!!」と強く説教されることになった。

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