アトカラホントスピーカー[★★]

【道具解説】 ひみつ道具である『アトカラホントスピーカー』はとても小さいけれども、口に入れてからしゃべったうそは後から本当になる。元に戻すためには、スピーカーのキャンセルボタンを押すことが必要である。

 

【使用目的】 ジャイアンが土管のある広場で翼ちゃんの生写真をみんなに自慢していた。そこへ、スネ夫が現れ、翼ちゃんとはスネちゃんつうちゃんと呼び合う仲であり、ちょくちょく家に来るんだと調子よく喋ってしまった。ジャイアンからカメラを持っていくからよろしくと頼まれてしまったので、スネ夫はドラえもんについ成り行きでそうなり、今さらうそなであったといえないと泣いて訴えた。ほっとくわけにもいかないと思ったドラえもんは「アトカラホントスピーカー」を出している。

 

【使用結果】  スネ夫がこの道具を「パク」と口の中へいれ、「オオカミがきたぞ!!」と叫ぶと、係員が麻酔銃を「バン」と撃ち、「おさわがせしました。動物園のシベリアオオカミが逃げだしたんです」というものであった。スネ夫はこの道具の威力を確認したので、「つばさちゃんがうちへくるぞ。きょうこれからすぐにくるぞ~」と叫んでいると、ジャイアンが「いつくるの」と尋ねるので、「もうすぐ! つばさちゃんが気にするから、庭にかくれてて」と指示している。

 

つばさちゃんのマネージャーが「テレビ局へいく途中、お宅の前で車が故障しちゃって…。かわりの車をよぶので、電話をおかりしたいのですが…」とやってきた。お茶を出している間、ジャイアンは窓の外から「カシャ カシャ」と写真を取りまくった。「いっしょに写真をとろうとおっしゃってる」と告げると、ジャイアンは「キャ!! ルンルン」の気分で写真を撮ってもらって、帰っている。

 

 ドラえもんがスピーカーを返してとスネ夫に頼むと、「これを口に入れておけば、明るくのびのびとうそがつけるもんね」というので、「力ずくでもとりかえすぞ!」、「それはやめたほうがいい。中学生の番長グループとぼくなかよしでね。ぼくに手をだすと、あいつらだまっていないよ」と脅すので、ドラえもんは「うそでもほんとになるぞ、逃げろ!!」ということになった。

 

 スネ夫が「さあ、今度はどんなうそをつこうかな」と考えていると、先生がお母さまのぐあいはどうかね。徹夜で看病しているから、おみまいにきたんだ」、「今面会謝絶で…」、「そんなに悪いのかね!? くれぐれもおだいじに」と帰っていった。「ウ~ン……ウ~ン」とうなっている声が聞こえたので行ってみると、スネ夫のママは「寒気がして目がまわって頭がグラグラして、今にも死のそうざます!!」と。

 

  スネ夫が「ほんとに病気になっちゃった。ドラえも~ん」と出掛けると、番長グループにつかまって、「おまえんとこへ遊びにいくとこなんだ。おれたちゃ友だちだもんな。やいこら! なんでにげる!!」となった。

 

 スネ夫が無事ドラえもんの家に着くと、ママがほんとの病気になり、「あやまるからたすけて!!」懸命に頼んだ。ドラえもんが「スピーカーのキャンセルボタンをおさなくちゃ、はやく口からだして!!」と命じたが、「ペッペ…。あれ? でないぞ。虫歯の穴にもぐりこんじゃった」となった。歯科医院から、スネ夫の「ギャ~ ギエ~」の悲鳴が聞こえた。のび太は耳を押さえながら、「やっぱりうそつくと、ろくなことないんだね」とドラえもんに語りかけていた。

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