書誌とは(その3)

 谷沢永一は書誌学の課題の一つとして解題目録の重要性を指摘している。作品の解題は「何について書いてあるものかということを、一行でいえればよい」、つまり、「21から25字ぐらいのなにか内容について読者にメッセージを送る」ものである。

 

 ドラえもん作品で、藤子・F・不二雄は晩年に至るまで、五人の主人公の顔を描かれていたと言われている。ドラえもん作品で、絵やコマの展開は分析者に無限の情報を提供している。例えば、過剰の人であるドストエフスキーがもしドラえもん作品を文章化した場合、一冊の独立した作品ができ上がるものと想像できる。本章では、本の「あらすじ」を意味する梗概で、作品の解題を行っている。さらに、詳細な加筆修正を行い、文脈の中である程度その修正箇所が類推できるように、きわめて長い解題を採用する結果となった。