書誌とは(その2

 ドラえもんマンガが単行本化されるにあたって、多くの作品に加筆修正が施されていることはドラえもんファンにとって、自明のことであった。しかし、どの作品のどこがどのように加筆修正されているかを詳細に分析した研究は皆無である。本章では、「コマ挿入」、「コマ削除」、「コマ転置」、「変更」、「挿入」、「削除」といった六つのカテゴリーが加筆修正の分析に用いられている。

 

 単行本では、初出誌にない新しい「コマ挿入」、初出誌のコマが単行本で全く違った場所に移動する「コマ転置」、初出誌のコマの吹き出し「変更」や初出誌のコマになかった新しい吹き出し「挿入」カテゴリーを用いた。初出誌では、単行本になってなくなった「コマ削除」、コマにあった吹き出しの一部「削除」のカテゴリーを用いた。単行本と大全集との比較においても、同じカテゴリーが採択された。

 

 マンガでは、絵の情報が文字情報に匹敵する大量の情報源になっている。文字の場合と同様、絵でも「コマ挿入」、「コマ削除」、「コマ転置」、「変更」、「挿入」、「削除」の他に、コマの「縮小・拡大」、「絵の描き直し」などといったカテゴリーが加筆修正の対象になっている。本章では、絵の加筆修正があまりのも複雑な課題であるため、分析の対象から除外している。分析方法が明確になった時点で、この課題に別の機会においてチャレンジしたいと思っている。

 

 編集者の個性や使用したワープロソフトが微妙に加筆修正という課題に影響を及ぼしている。以下のような場合は、加筆修正の対象から除外している。

  1. 句読点、特に読点の位置の不一致。

  2. 送り仮名の不一致

  3. 漢字とひらがなの不一致

  4. カタカナとひらがなの不一致

  5. 沈黙を表すのに中黒がマンガでは多用されている。その場合、中黒の数は一般的に3の倍数が用いられている。この中黒の数の不一致

  6. 手書きと活字の不一致

  7. 活字のポイントの不一致