リムジンに乗って主人と一緒に斎場に向かう。
これが主人の身体と最後のドライブ。
主人の写真を膝に乗せて。
5年前も走った同じ道を走る。
5年前は義父の葬儀だった。
今日は主人…。なんか…まだ信じられなかった。
斎場では主人の棺は開けられなかった。
前もって聞いていたけど…本来ならここで最後に顔が見れたけど…主人には顔が無いから…涙
小さな扉が開くと、棺がギリギリ入る大きさの部屋だった。ここで主人は空に昇る。
そばにいてるからね
読経が終ると小さな分厚い扉が閉められ、持ってきた主人の遺影がその前に置かれる。
もう…会えない…どうしようもなく悲しい…寂しい…
待ってる間に、親族に食事が振舞われるので食事のできる部屋へ。
私はしんどくて、義兄弟たちに接待をまかせ、一人離れて待合室で待った。
会社の人も数名居てた。最後まで見送ってくれるらしい。
複雑な気持ち。憎くないと言えば嘘になる。でも、彼らが直接悪いわけじゃない。
自販機でお茶を買った。
主人のそばに行きたかったけど、他にも来られるので…あまり行っては良くないみたい…。
遠めから眺めて、また待合室で待った。
食事が終わった母が待合室に来たけど、何か話してきたけど…なにもしゃべりたくなかった。
皆が待合室にあつまりだして、しばらくすると呼ばれた。
・・・
主人は…白い…白い…骨になっていた。
「腕に金属を入れていましたか?」
斎場の人に聞かれた。
「はい。事故で手首を骨折して金属が入ってます…」
「その金属はどうしましょう?一緒に骨壺に入れますか?それとも金属は除けときますか?」
「全部…入れてください」
二人一組になって主人を小さな瑠璃色の陶器に入れていく。
最初は私と娘から。
関東ではお骨はすべて残さず骨壺に入れる。
喉ぼとけは私が素手で入れた。
最後に主人の時計とアイコスとあと愛車S660のミニカーを骨壺の中に。
主人はとても小さくなってしまった。
私より背が高くて、ちょうど、顎の下に顔をうずめれる感じだったのに…。
肩幅が広くて胸板が厚くて、足も長くて、とてもカッコいい人だった。
それが、いま、小さな箱の中に入って私の腕の中にすっぽりと入ってしまう…。
…
なんでこんなことになってしまったんだろう…
ただ、ただ…悲しかった