前回, 数年振りにこのブログの存在を思い出してOVERDRIVELANDについて書きました.
各記事へのアクセス数を見てみますと, 6年も前に書いたBOSS MS-3についての記事を読んでくださっている方が最近でも多いことに気がつきました. なんでかな?と思っていたのですが, どうやら大人気らしい「ぼっち•ざ•ろっく」で使われていたみたいですね(?). それに便乗しつつ, 前回は購入したての感想だったのですが, 以下に6年間使ってきて思うところなどを書いてみます. 裏チャンネルを作るCURRENT NUMBER機能に加えて, 個別のエフェクターのラッチ信号/MIDI制御をこのサイズで行うことができる素晴らしい機材です.
参考までに現状のエフェクトボードは以下のようになっています.
接続順は
Guitar - JHS Wah - ORIGIN EFFECTS Cali76-CD - Limetone Audio LTV-30L-ilm - Human Gear ESSENCE - BOSS MS–3 - Dawner Prince Electronics BOONAR Multi-head Drum Echo - BOSS RC-2 - JC-120
BOSS MS-3
Channel 1: Signal in
Channel 2: Funk Ojisan Eruption
Channel 3: Ethos Overdrive amp - Free the Tone INTEGRATED GATE / IG-1N
です.
スマホ直撮で申し訳ないのですが, 音色は以下のような感じです. あれこれの音色を扱えることは伝わるのではないか...?と思います.
1. 驚異的な耐久性
6年間使ってきてそれなりの頻度でスタジオなどに持ち出しておりますが, 今の所特に何の異常もなく使えています. コロナ前は月に一度バンドでスタジオ入りしていました. 最近引越したらすごい近所にスタジオがあったので, 近頃は毎週末にスタジオで楽しんでいます. 持ち歩いて足で踏むことが前提であるとはいえ, さすがBOSS製品!と称賛を贈らざるを得ません.
2. 各Channnelで独立した音量設定ができる.
もちろんデジタル処理ではありますが, 各Channnelで独立した音量を設定できます. 地味ですが, 実際にバンドで使うとなるとものすごい便利です.
直列のエフェクトボードの場合は歪み音色を使っている時に歪み量と音量を同時に上げることは難しい場合が多いです. もちろんメインの歪みペダルのあとにさらに歪みペダルを追加すれば可能ですが, 後段のペダルの音色が色濃く出るので, これを嫌う方は多いと思います. MS–3であればループ内にブースト用ペダルと主歪みペダルを入れておき, バッキングでは主歪みペダルのみをON, ソロではブースト用ペダルと主歪みペダルを両方ON + MS–3内でのデジタル音量増幅をChannnelの切り替え, もしくは後述のCURRENT NUMBER機能を使って1操作で行うことができます. これは実用上では他に得難い利点だと思います.
3. CURRENT NUMBER機能はものすごい便利.
各種レビュー動画などでも言われておりますが, CURRENT NUMBER機能があることでものすごい使いやすくなっています. 一言で言うなら各Channelをもう一度踏むと裏チャンネルに入れる機能です. 各Channelで設定した音色にMS–3内蔵のエフェクターやループに接続したエフェクターを別途ONにすることができ, 実質8個の音色を扱うことができます. 内蔵エフェクターに関してはパラメータも変更可能です. 例えばDelay timeや音量を1 Channel内で切り替えることができます.
4. DUAL FOOT SWITCH FS-7との組み合わせで音作りがさらに幅広くなる.
同じくBOSS製品である, DUAL FOOT SWITCH FS–7をMS–3のCTLINに接続すると音作りの幅がさらに広がります. ループに接続したエフェクター, 内蔵エフェクターのON/OFFはもちろんパラメータをワンタッチで切り替えることができます. CURRENT NUMBER機能と合わせると1 Channelで4つの音色を作れるようになります. つまり1 bank内で16種類[
4 channel x (CURRENT NUMBER) x (DUAL FOOT SWITCH FS–7の2 channel)]の音色を使えます. 自分はクリーンChではトレモロかディレイ, 歪みChではオクターバーかディレイを追加できる設定にしています.
5. ボード上のエフェクトのラッチ/MIDI制御が可能
ボード上に配置したエフェクターがラッチ/MIDI制御に対応している場合は, MS–3からの遠隔制御が可能です. 例えば2 channelの機材の通常歪み/激歪みの切り替えや, Noise gateのON/OFF切り替えができます. 激歪み設定時だけNoise Gateをかけるといった操作が1回で済むというのは大変便利です.
というわけでもはやMS–3なしでは成り立たないくらいに気に入っています. とはいえ, こういう機材レビュー記事では悪い面も気になるかと思います. 自分があれこれ参考にさせていただく時に称賛部分に合わせて悪いところが書いてあると大変ありがたいので, ここで書いてみます.
a. バッファーによる音変化は結局気になる.
前回の記事ではバッファーによる音変化はそんなに気にならない的なことを書いたのですが, 数年使ってきて録音して違いがそんなになくても弾いている自分に返ってくる感触の違和感が大きくなってきてしまいました...特にピックが弦に当たるときの出音と自分の感覚が合わないことが気になり, 結局Channel1を潰してChannel1のリターンからの入力にしています. このバッファー回避方法はよく知られていますが, MS–3内蔵のチューナーが使えなくなる副作用があります. 前回の記事ではNoise suppressorも効かなくなる, と書いたのですが, Noise suppressor内の設定を「NS Input」に変更すれば機能しました(ごめんなさい!).
b. 内蔵バッファー不使用のとき, 外部エフェクターはMS-3内蔵エフェクターの前にしか置けない.
こちらはMS–3のバッファー回避した場合のデメリットです. 前回の記事にも書きましたが, 外部エフェクターはL1–L2–L3というひとかたまりで扱われ, その間にMS–3内蔵を挿入することができません. さらにMS–3のバッファー回避のためにMS–3のChannel1(L1)のreturnからはじめてMS–3へ信号を入力する場合, L1より前に内蔵エフェクターを配置しても無効になります. 内蔵のコンプやブースターを使って外部歪ペダルの音を整えたり, 増幅したりすることができないのはやや不便かな...と思います. バッファーON/OFFの切り替えができる後継機種が出たら大変嬉しいです.
というわけで悪い面がないわけではないのですが, サイズ, 重量, 機能から総合的に考えて現実的にアマチュアだけれどいろんな音色が必要/使いたいギタリストが持ち運ぶ機材として現状でこれ以上便利なものはないのではないか?と個人的には思っています.