家の前を子供たちが大きな声で歌いながら
歩いて行くのを眺めていた。
「カラス何故なくの?」♫ ♬
私は少しドキドキしながら耳を傾けていると
さらに大きな声で「カラスの勝手でしょう。」と歌って笑っていた。
心がずきんと痛くなった。
この子たちはこの童謡の本当の歌詞を知っているのだろうか。
「カラスなぜ啼く(なく)の?
カラスは山に
可愛い七つの子があるからよ。
かわいい可愛いとカラスは啼くの可愛い可愛いと啼くんだよ」
カラスのお母さんは子供たちが可愛い可愛いと言ってないているんだよ。
この美しくて、よく聞くと涙がこみあげてくるような歌詞は
野口雨情が書いた。
雨情の作品は他にも「青い眼の人形」「しゃぼん玉」「赤い靴」「雨降りお月さん」など多数にわたる。
子供たちは何度も続けて歌っていた。
私は悲しくなって心の中で言った。
まあるい目をしたかわいい子たち
どうぞ優しい大人に育ってねと。
あなたに平安がありますように