先月、隣の県の市の固定資産税課から書類が送られてきました。


何故?と思いながら封を開けると『相続人代表者指定届の提出依頼』の用紙が同封されていました。


そこに記せられた被相続人の名を見て、実母が亡くなったことを知りました。


苗字は知らない名前だったので、(実母は父と離婚した後に再婚していたんだな)と思いました。


生きているのかどうかもわからない状態だったのに、こういった書類で亡くなったことを知るなんて、何だか切ない話だと思います。


切ない話だとは思ったけれど、養母が亡くなった時の様な悲しみはありませんでした。


実母に対しては憎しみの感情も恋しい感情も一切無かった。


なので必死で 探すということもしませんでした。



実母が私に会いたがって連絡してきた 時に断ったと母に聞いた時、別に何とも思いませんでした。


親戚の葬儀や法事の度に、誰だか知らない人(恐らく遠い親戚)が私に「お母さんが会いたがっている」と言いました。


しかし実母を探すことは、育ての親である母への 最大の裏切りの様な気がしていました。




でも会いたくないと思っていた訳でもありません。


私にも子どもがいますので、実母が私に 会いたがっている気持ちも分かる気がします。


だから父の死後、従兄に実母の所在を尋ねました。


そして従兄に「知らない」と言われた時点で縁が無かったものと諦めてしまいました。


それが良かったのか悪かったのか私には判断がつかなかったけれど、相続人代表者指定届の提出依頼が送られてきたということは、私の他にも子どもがいたということだろうし、それは再婚相手の人との子どもだろうから、穏やかに暮らしておられる人達の前に私が自分の都合で急に現れても困っただろう、だからこれで良かったのだと思うことにしました。


そして実母名義と再婚相手の人の名義の家と土地を相続する筋合いは無いと考え、相続放棄の手続きをすることにしました。




実母と、養子縁組した妹の母と、私が5歳の時に父と再婚した育ての母と、私には三人の母がいたけれど、「親」と名のつく人はもうこの世にはいないんだと改めて考えた時、はじめて寂しさの様なものがこみ上げてきました。



でも、私の見捨てられ不安の原因となるものも、もう消えたんだなと思いました。