先月末、ゴールデンウィークは仕事で帰省できなかった妹が時期をずらして帰ってきました。


同じタイミングで、実家の名義変更を頼んでいた司法書士さんから書類が揃ったので、私と妹の署名と捺印が必要との連絡がありました。



そして、司法書士さんから書類を受け取る時、主人の実家の名義変更もお願いしたい旨も伝えました。


義母にどのように伝えれば良いかアドバイスをもらって、ちょうど母の日の前だったので、プレゼントを持って行く時に話をすることにしました。



毎年、義母に渡している色とりどりのカーネーションの花束は包み紙がそのまま花瓶代わりにもなり、花が終わるとそのまま処分できるので、数年前から母の日のプレゼントにはこれを送ることに決めています。



義母に花束を渡す時に私の実家仕舞いの話をし、法律が変わったので主人の名義のままのこの家も来年の4月までに名義変更しないといけないことを伝えました。


義母は自分や主人の弟の名義に変更することも可能だと思い込んでいたので、主人の名義に変えた時点で相続権は私と子ども達に移っていると司法書士さんが言っていたと説明しました。


義母と義弟には相続権が無いことは以前から私も言っていたのだけれど、義母は勘違いしているのは私の方だと思っていたので、司法書士さんが言っていたとのことでやっと納得してくれました。



そして今まで相続者の代表として私が固定資産税を払ってきたけれど、息子や娘に名義を変更すると今度は息子や娘が固定資産税を払わなければならなくなるから、とりあえず私の名義にしたいと話をしました。


「法律が変わらなければ、名義は変えるつもりは無かったし、名義を変更したからと言って家を売るつもりも無い。これまで通り固定資産税もガス代も水道代も私が払うので、名義が変わるだけで他は何も変わりません」

と伝えました。


義母には固定資産税や水道代やガス代を、主人亡き後は私が払っているという意識は無かった様でした。


固定資産税はともかく、ガス代や水道代を私が払う義務はありません。


でも、義母が借金まみれの時、電気と電話は止められてしまったのに、何年も払っていなかったにも関わらずガスと水道だけは止められてはいませんでした。


主人の代理で支払いに行った時、なぜ何年も払っていないのに止めずにいてくれたのか聞いてみたら、水道局の職員さんは「水を止めると命に関わるから」と言い、ガス屋さんは「お父さんが生きていらっしゃった時からの長い付き合いだから」と言いました。


この世知辛い世の中で、こんなあたたかい対応をしてくれるところがあるんだと、それを聞いた私は感動してしまいました。


でも、いくら催促しても払ってくれないから本当は困っていたとも言われました。


その時にお礼を伝えるとともに

「今後は主人が払いますので、支払いが滞ることはいたしません」

と約束したのです。


だから義母のためというより、その時の約束を守るためでもあり、固定資産税と水道代とガス代を払い続けることが、生前に母親の借金を心配し続けていた主人の供養にもなると思っているからです。




20年も払い続けていれば相当な金額になりますが。


そもそも主人の実家の名義を変えたのは、義母の借金のせいで家を取られることを防ぐためでした。


しかし義母の記憶の中では主人が義母の面倒を見るからという理由に変わっていました。


そして義父が亡くなってからは義母が一人で家のローンを払ったことになっていました。


自分の大学の費用は義母に全部返したと主人は言っていましたが、二人の息子の大学の費用も全部義母が出したと言っています。


義母はデパートで高い服を買ったり友だちと頻繁に旅行に行ったりする資金をサラ金から借り、それを父親の残した借金だと言っては主人に支払いをさせていました。


義母は自分が作った借金を全て義父が残した借金だと思い込んでいたので、長男である主人が援助してくれるのは当たり前だと思っていました。


だから今も昔も、その事について何の悪気もありません。


しかし義母の借金は私にはイライラの原因でしかありませんでした。


義母に贅沢をさせるために、質素な結婚生活を強いられている様にしか思えませんでした。


私と結婚しなかったら、主人は何の疑いもなく長男として母親の面倒をみれたのかもしれない、その方が主人は幸せだったのではないかと思った程でした。



そして義弟は、自分は実家で暮らしていないから自立していると思って実家暮らしの主人を馬鹿にしていました。


でも、母親の諸問題を兄に丸投げしていたから、ずっと知らぬが仏でおれたのだと私は思っています。



ところで人の記憶って無意識のうちに自分の都合で変えることもできるんですね。


今期、履修している大学の教科では、それを『錯覚』と言っていました。



義母の自分が一人で頑張ってきたという思い込み、それを今さら否定したところで状況は何も変わらないし、そう思い込むことで義母が自分を認めることができるなら、それはしあわせなことでもあるのだろうと、義母の話に同意するでもなく否定するでもなく、ただ黙って聞いていました。


「もめることなく名義を変更できたなら、そんなことはどうでもいい」そう思いました。


義務だけでやっている実家の名義変更は、私には邪魔臭さの極みでしかありません。


自分の実家のことは自分が育った家だから、それなりの思い入れもありなんとか頑張れそうだけれど、主人の実家の固定資産税を払いながら、最終的には主人の実家仕舞いも私がやらなければならないのかと思うと、正直うんざりしてしまいます。


まぁ、自分の実家の要るものといらないものの仕分けや、事務所の必要書類の整理が私には膨大過ぎて思う様に進んでいないし、それを頑張っても財産にはならないというのも、憂鬱に思う原因になっているのでしょう。



まだ私の名義にはなっていないけれど、今年は自宅を含めて三軒分の固定資産税を私が払います。


損得だけを考えていると動けなくなるので、私の実家がスムーズに売却できる様に祈るのみですが、「憂鬱に思っているわりには全てが順調に進んでいる』と思うことにしています。