またこんな時間に起きてしまった。昧爽。ほんのり。この世界で鳥とわたしだけが一日の始まりに気が付いている。枕元のスマホに手を伸ばし、重くたるんだ瞼に喝を入れる。もう数年開いていないアプリの通知は溜まっていくばかりだ。何やら明け方のニュースが騒がしい。どっかの誰かが交通事故で死んだという。死んだ青年は19歳、まだまだ夢半ばだったろう。わたしはそれに感傷的になるだけの温情は持ち合わせていることに、小さく波打つ胸を撫でおろす。内から今日も生きたいと語りかけてくる。せっかくだからその誰かの分まで生きてあげようと私は返す。とんだおせっかいだ。