奥美濃の山地に、ぽつんとある一軒宿「ふたこえ温泉」に宿を取ることにした。

宿泊情報が少なく、どちらかと言えば、日帰り入浴としての利用が多い様だが、

なんとなくここに決めた、いえ、安くてお湯が良さそうだから、ですが。

外観.jpg

果たして日帰り入浴でさえ、客が来るのかという山中、

舗装道路があるのが、不思議なくらいの山中に

「ふたごえ温泉 コージュ高鷲」は、あった。

某企業の保養所だが、一般客も宿泊できる。

チェックインは14時から。こんな山ん中で何すんねん、と思っていたら、

テニスコート、室内プール、ジム用マシンと揃っている。

しまった、水着を持って来るべし。

館内は明るく清潔、全室にユニットバス(温泉は大浴場だけ)が完備され、

部屋の大きな窓からも、濃い緑の山々が見渡せる。

普段なら目障りな高速道路も、山々を繋ぎ谷を跨ぐ偉容を見れば、いっそ壮観だ。

買い物を放り出し、まずは温泉へと急ぐと、先客で混んでいる。

そういえば駐車場には、県外ナンバーが多かった。

と、ガッカリしながら浴室に入ると、塩素臭もするのだが

むうっと熱せられた温泉の匂いが、濃く満ち満ちてワクワクする。

加温で熱めの内風呂はすぐにのぼせて、露天風呂へと退避した。

打たせ湯.jpg

二筋の打たせ湯があり、気持ちいい!!

打たせ湯と露天風呂を行き来していると、肌にねっとりと、お湯が膜を作るみたいだ。

これは、いい。こんな辺鄙な場所にでも、客が来るわけだ。

さてお夕飯は、想像通りの川魚。

鮎?のチップス、鮎?の空揚げ、鮎?の塩焼き。

なぜ?マークか。見ても、鮎か岩魚かあまごか雑魚か、私には解らないから。

付出.jpg  鮎.jpg

生湯葉の刺身、えごま入りの胡麻豆腐、こごみのくるみ味噌和え(美味!)と、

         ホタテと明方ハム.jpg

ホタテバター焼きwithクリームソース(美味!)。デザートはパンナコッタ(美味!)

追加の明方ハム(明宝とは別物だが、味は一緒 笑)

結構な値段の割りに、給食のハムを思い出すのは、私だけなんだろうか。

いささかとりとめのないメニューではある上、いささか物足りない。

相客の男性団体は、違うお料理だったので、別献立も出来るのだろう。

正直、保養所という性質から、冷凍物が暖かくなってれば御の字、

くらいにしか期待はしていなかったのだ。

ところがどうして、地物を使い素朴ながらも、良心的なお料理だった。

レストランからは、駐車場を見下ろせる。

三世代の家族連れ。

おじいさん(70歳くらい)と大おじいさん(90歳くらい)の親子連れ。

きゃいきゃいと賑やかしい、厚化粧イマドキお嬢さんの団体。

いろんな客層が引っ切り無しに、日帰り入浴で訪れる。

どうやら宴会は、○○家長老組様親睦会の様だ。

日が暮れるとさすがに、日帰りの客足も途絶える。

半径10km周囲、人間は、わずか半ダース。世界は、狐狸の物だ。

ひと気のない露天風呂に浸かっていると、木が吐き出した湿気を吸い込み、

夜陰は、酸素と土の匂いに満ちていた。

そしてもちろん、部屋の中には、郡上みその芳香が満ちていた。



※2007年七夕頃の旅行日記です。

一泊二食付き、浴衣、バスタオル類のアメニティも欠かさず揃えて

9000円に、欠けるお値段(平日宿泊)

嬉しかったのは、混んでないからと広い部屋に通してくれたこと。

布団の上げ下ろしは、自分達でしなくてはならないが、太っ腹な施設だと思いません?!

貴社のますますのご隆盛を、偽りなく、願って止みません。