水の美味しい処には、旨い物がいっぱいある。
水が美味い、しかも山地となれば、蕎麦!
郡上八幡では、蕎麦が美味いに決まっている!!
宿を決めるより、旅程を組むより、私は美味しいお蕎麦モードに突入した。
吉田川にお座敷が、せり出すように「そばの平甚」はある。

ガイドブックに必ずと言っていいほど、掲載されている店なので
友人は、観光客仕様だろうと嫌がったが、これを食わずに、どこで食う!!
なんと現当主は、9代目、立派な老舗じゃないか。
予想通り、平日にも関わらず昼時は、観光客で満杯だった。
狭い土間を抜ければ、町屋らしく細長い座敷。
一番奥の席に座れば、大きな窓から、吉田川を眺めながら食事を楽しめる。
お品書きは、セット物こそ有ったものの、そば一本。
地元の名水で仕込んだ酒も、色々揃えてあり、
肴に最適なワサビの佃煮、なんてのも蕎麦に似合うコダワリだ。
もちろんお値段にも反映されていて、1000円出したら、百円玉は返ってくる。
しかし1000円で注文できる物は、厳しく限られることも申し添えよう。
初めての店では、冷たい蕎麦に限る。
珍しく、ざると盛りの両方があったが、付け出汁の甘辛の区別だった。
関西歴も随分になるが、蕎麦に甘い付け出汁だけはごめんだ。
郡上八幡のたまりをカエシに使ったという辛口出汁の、盛りをとる。
それと、平日限定「まかない焼きそば」は友人とシェアすることにした。

いかにも手打ちのお蕎麦は、ちょっぴり白くて細い。
狐が化けた美女ならこんな風で、田舎蕎麦と言ったら、狐に殴られそうだ。
お出汁は、醤油辛くもなく生わさびの芳香が鼻に抜ける。
うん、蕎麦の甘みに絶妙!
コシもあるし、観光客向けの構えの甘さは感じられない。が、なんだ??
蕎麦がつまみにくいと思ったら、長さが10cmほどしかない…….。
ぶつんぶつんと、切れている。
客の回転率から言っても、のびた古い麺では、決してない。
こんな蕎麦なのか?!
蕎麦を平らげた頃「まかない焼きそば」が来た。
当家独自のまかない食を、当主がどこにもない味としてメニューに載せた物。
山口の瓦そばみたいなのか、まさか、
のびた蕎麦で焼きそばにしているんでは?!

なんのことはない、中華そばの焼きそばやん。
どっこい、皿には汁が溜まっていた。
ウスターソースの味で、油っ濃くはない。
炒めるというより、ウスターソースを蕎麦の出汁で割って絡めたと言った風。
豚肉ならぬ鶏肉の風味も効いていて、キャベツもしんなり柔らかい。
珍味のような懐かしいような??
見た目以上にあっさりと、郡上八幡らしい味だった。
ぶつんと切れた蕎麦の真相はいかに?!
そないに大層なモンやないけど、これもまた続きまっせ。
※ 蕎麦屋になったのは明治からで、3代目らしいです。でも、老舗でしょ?
面倒だから9代目を名乗っておられるが、元来旧家で、20何代目だかに
なるそうです。
店内には、代々当主の収集お宝も飾られてます。
引き続き、2007年七夕頃の旅行日記です。