【ラジオ放送(恵真さんの声)】

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・ラジオネーム

くりくりパーマ

・リクエスト曲
Dragon Night・アーティスト
SEKAI NO OWARI

・宛先番組
夕方やっぱり764(佐々木恵真さん) 10月1日(木)放送原稿

・コメントメッセージ
エマさん、こんにちは!!毎週木曜日の生放送、楽しみに聴いてます。
 
最近、秋の夜長を利用し、夜中に自序伝をこっそり書いている”くりくりパーマ”です。
 
さて本日は、その自序伝の、秋をテーマとした第5章38ページ目”を抜粋し、お届けいたします。
 
この物語は”中1”の国語の授業のひとコマから始まります。
 
金曜日の国語の時間に、次の授業までに”秋にまつわる俳句”を考えてくるようにと宿題を出されました。
 
僕はあれこれと、考えてみましたが、納得のいく俳句が思い浮かばず、難題に直面していました。
 
思わず『難題だな~』と心の声がダダ漏れ状態で声に出てしまいました。
 
すると、それを聞いていた年子の兄が『難題って。なんだい?』と、ボケて聞いてきました。
 
兄にも協力してもらおうと思いましたが、どうせ、ふざけたことしか考えないと思い、あきらめました。
 
しばらく考えていると、眠くなり、ウトウトして寝てしまいました。
 
すると『♬いしや~き~いも~。おいも。あまくておいし~いよっ。はやくしないといっちゃうよ~♬ ♬いしや~き~いも~。おいも。あまくておいし~いよっ。はやくしないといっちゃうよ~♬』
 
そのコミカルでポップなおじさんの声で目を覚ましました。
 
お調子者の僕は、反射的に窓を開け、近くにあった”野球の応援用のメガフォン”を片手に同じ口調で思わず、こう言いってしまったのです。
 
『♬いしや~き~いも。おいも。甘くておいしいのはわかるけど、お金がないから買えないよ~♬』
 
ノリのいい、石焼き芋屋さんはこう返してきました。
 
『♬買うまで粘るよ~。おいも。おいも♬ ♬おうちの人に言ってちょうだ~い。僕も大好き。おいも。おいもちゃ~ん♬』
 
それを聞いていた兄は一瞬姿を消し、選挙演説用の拡声器を肩からぶらさげ、マイク片手に音のつまみを大まで回し、こう、ぶちかましたのです。
 
『♬かぁちゃん言ったらしかられる~♬ ♬そんなに好きなら、ただでくれ~♬』
 
そのような、やりとりをしていると、拡声器による大音量での兄の声に気付いた母はもうダッシュで僕達に駆け寄ってきました。
 
僕はいつもの、卓球のスマッシュの如(ごと)く、頭を叩かれると瞬時に思った為、条件反射で頭を下げました。
 
すると僕の頭上をギリギリかすめ、真横にいた兄の横っ面に見事に”ヒット”したのです。
 
すると、まったく反省のかけらもない兄はマイクを手放すことなく、こう言ったのです。
 
『いたーい。なにすんの〜!』
 
衝撃で兄の眼鏡が”ポーン”と飛んでしまい、『メガネ。メガネ。メガネ』と、横山やすし大師匠の物まねをしている姿に、母は思わず笑っていました。
 
僕は『メガネを探しながらもマイクを離さない兄ちゃんは立派だなぁ。』と思ったのは言うまでもありません。
 
母は焼き芋屋さんに『このバカ息子たちのせいで営業妨害ですよね~。ほんとにごめんなさい!はずかしいったら、ありゃしない!』と焼き芋の大量購入に踏み切ったのです。
 
その日の夕飯は”焼き芋ご飯、焼き芋のチーズ焼き、焼き芋のサラダ、焼き芋のホットスープ”等々、焼き芋のフルコースでした。
 
金食い虫の父も、沢山のお芋は食べきれないと思ったらしく、しれ~っと仕事の打ち合わせがあると言い放ち、消えて行ったのです。
 
おそらく近所のスナック『さそり』にでも行ったのでしょう。
 
僕は自分が蒔いた種だと思い、沢山食べました。そして、お腹が”パンパン”になるまで食べ倒したのです。
 
その日の夜から翌朝までは、あの自然現象である”おなら”がとめどなく吹き荒れたのです。
 
まるで台風のような、ごう音と突風のようでした。
 
僕はこんなに出るものなのか?と驚かされました。
 
何度も何度も繰り返えされ、まるで壊れたレコードのようでした。
 
病院に行こうかと悩んだくらいです。恥ずかしながら、その日は3枚替えました。
 
大人になった今でも、こんなに凄まじい体験はありません。
 
『やっぱり、芋の力はスゲーな!』と思っていると、気づけば、月曜の朝を迎えていました。とうとう宿題を完成できず、登校するに至ったのです。
 
国語の授業が始まるまで、考えましたが納得のいく俳句はできませんでした。
 
先生から、アトランダムに指名され、宿題の俳句の発表が始まりました。
 
クラスメイト達は・・・。
 
『秋深し・・・、秋風に・・・』
 
などと、秋をイメージした俳句をスラスラと軽やかに詠んでいくのです。
 
僕は『なるほど、みんな真面目に俳句を詠んでるなぁ。しかし遊び心が少し足りないんだよ~』なんて、自分のことを棚に上げ、クラスメイトの批評をしていました。
 
ふと、俳句が完成していないことに気が付いた僕は、先生に指名されないよう、身体を縮みこませ、前の人背中の影に隠れて、目立たないよう、ひっそりと息を潜めました。
 
すると、先生は”ニヤニヤ”しながら僕の席の前に現れたのです。
 
その時、僕は観念し、正直に『俳句は難しいです。考えつきませんでした』と言おうと思った瞬間に、僕の心の師匠である、あの、ザ・ドリフターズの志村先生が頭の中に舞い降りてきたのです。
 
志村先生は、僕にこう語りかけました。
 
『だいじょうぶだぁ~。昨日の焼き芋だ~。』
 
その時、なんと。素晴らしい俳句が頭のど真ん中で、思い浮かんでしまったのです。
 
それを指折り数えてみと、あらビックリ、5.7.5になってるではあ~りませんか。
 
しかし、内容が恥ずかしいと思った僕は、蚊の鳴くような、か細い声で、しかも早口で発表しました。
 
『芋(いも)食ってパンツ破(やぶ)れる屁(へ)の力』
 
すると、先生は『なぬ?! 聞こえね~ぞ!!もう少し大きな声で言ってみろ!!』
 
と言いました。
 
クラスメイトの女子も・・・。
 
『聞こえな~い!』
 
と大きな声で言われてしまいました。
 
そこで、開き直った僕は、堂々と大きな声で、はっきりとみんなに聞こえるよう、渾身の力を込め、更にドヤ顔で二度目の発表をしました。
 
『芋(いも)食ってパンツ破(やぶ)れる屁(へ)の力!!』
 
すると、クラスメイトは大爆笑!やったぜ。加トちゃん。大成功!!
 
しかし、悲しいかな、意中のあの子は全く笑っていなかったのです。
 
その日の夜は見事な満月でした。そのお月様を見て、僕はこう思ったのです。
 
ここで一句・・・。
 
『恋も、愛も、さつま芋、芋には色々あるけれど、焼き芋だけは勘弁だ !!』
 
字余り。
 
つづく
 
エマさん。こんな私についてどう思いますか?