【ラジオ放送(恵真さんの声)】
↓クリック↓
・ラジオネーム
くりくりパーマ
・リクエスト曲
少年時代
・アーティスト
井上陽水
・宛先番組
夕方やっぱり764(佐々木恵真さん) 9月24日(木)放送原稿
・コメントメッセージ
エマさん。こんにちは!!毎週木曜日の生放送、楽しみに聴いてます。
本日で投稿10回目の”くりくりパーマ”です。
先日、車で走っていると、稲刈りをしている光景を目にしました。
暑かった夏も終わり、秋が到来したんだなぁと実感した今日この頃です。
ふと、少年時代の“田んぼ”での出来事を思い出しました。
季節は田植えの時期です。その日、兄といとこの三人で、母親の実家近くで昆虫採集をしていました。
僕達は半ズボンに白いランニングシャツと麦わら帽子に身を包み、右手に虫取り網、左手に虫かごで武装し、バッタやかまきり、蝶々などを夢中で追いかけていました。
すると、遠くから、おじいちゃんが、田んぼ道の端っこを自転車に乗って”ヨロヨロ”とこちらに向かって、走ってきたのです。
今思うと、止まっているのか。進んでいるのか。いや、ほんの少しだけ進んでいるように見えたのです。
すると、近づいているはずの、おじいちゃんが、忽然と視界から消えたのです。
僕達はこの出来事に驚き、何が起きたのかわかりませんでした。
そして僕達は自分の目を疑いながら・・・。
・おじいちゃんは幻だったのか?
・それとも幽霊だったのか?
・はたまた宇宙人にさらわれたのか?
と思っていると、慌てて”駆け出し中の兄”が消えたあたりへ駆け出して行ったのです。
それにつられて僕といとこも追いかけていきました。
行ってみると、田植えをしたばかりの青々とした田んぼの中に、自転車に乗ったままの姿で、横に転んでいる、おじいちゃんを発見しました。
その時、兄は『うちのおじいちゃんだ!早く助けなきゃ!!と叫びました。
僕といとこも現場に到着し、おじいちゃんを助けなきゃ思っていると。
泥まみれのおじいちゃんは”ぬーっと”起き上がったのです。
僕はおじいちゃんに『大丈夫?』と声をかけると・・・。
おじいちゃんは・・・。
『あんだってー?だいじょうぶだぁ~!何でもねーよ。酔ってねーよ。』
と返してきました。
僕達はひとまず安心し、泥まみれの自転車を3人がかりで、田んぼ道に何とか引き上げることができました。
ふと、田んぼを見るとマンガのような光景が広がっていました。
田植えしたばかりの田んぼに、自転車と人の形がくっきりと型とられていたのです。
すると、おじいちゃんは田んぼの隅にある予備用の稲を使い、自ら無言で、丁寧に植えだしたのです。
自分が転んで台無しにしてしまった他人の田んぼを、元通りにすべく、一生懸命手植えしてました。
元通りに戻った田んぼを見て、おじいちゃんの、淡々と責任を取る姿勢に感心しました。
昔からのことわざに”自分で蒔いた種は自分で刈り取る”という言葉があります。
この意味は自ら行動に対して自分で責任を負う例えです。
まさに、おじいちゃんは自分で自分の責任をとる姿を僕達に見せてくれました。
やっぱり、うちのおじいちゃんは最高だ。
かっこいいな。
うちのマンションの住民と違うなと思っていると、おじいちゃんはポケットから”ごそごそ”と小銭を取り出したのです。
すると、僕達の手に小銭を無理やり握らせ、こう言いました。
『ばあさんには内緒だぞ!いいな?わかったな?!』
と念を押された僕達は・・・。
『ウッ。うん。』
とうなずくしかありませんでした。
今思えば、何に対しての口止め料だったのか真意はわからないままです。
僕達は、この口止め料は持ち帰ってはいけないものと感じてしまい、使い切るために”ビー玉入りのラムネ”を買いました。
一緒にいた、おじいちゃんも・・・。
『俺も一杯飲みたいな』と言い”ワンカップ”を買っていました。
店の外でおじいちゃんがこう言いました『お前たち! 一気に飲め!!』と号令をかけてきました。
僕達は『アイアイサー!』と口をそろえて答えました。
一気に飲んでみましたが、炭酸が喉を通らず、口から溢れ出でしまいました。
何とか飲み切った僕達は瓶の中のビー玉を取出し、道端に転がしながら遊んでいると、兄が重大なことに気付いたのです。
兄は『このビー玉で足がつく。持ち帰ったらバレる』と言い出しました。
僕はすかさず『どうしたらいいの?』と尋ねると、兄は『こうしたらいいのさ』と言い、片方の鼻に詰めました。
その顔をみるとバランスが悪いため、兄想いの僕は残された片方の鼻に優しく”すーっ”と詰め込んで差し上げたのです。
すると兄は呼吸困難に陥り、瞬時に”口呼吸”に切り替えたのでした。
兄の呼吸も安定化し、ほどなく、おじいちゃんの家に到着しました。すると『お帰りーと』母が近づいてきました。
兄の顔を見て『あんた。何やってるの!!』と兄の後頭部を”卓球のスマッシュ”の如くぶっ叩きました。
すると、その衝撃で兄の鼻から”ポーン”と大砲の如く、ビー玉が放たれたです。
放たれた先に、鼻垂れいとこが見事にキャッチし、しれーっとポケットの中にしまい込んだのです。
まさに、盗人猛々しいとはこういうことを言うのでしょうか。
その後、僕達は縁側で、捕まえた昆虫を自慢げに見せびらかしていると、妹も庭で捕まえた、芋虫や青虫やダンゴムシを並べてきました。
そのうち、親戚の”泣き虫”と”弱虫”と”お邪魔虫”も集まってきました。
そこに”おいーす”と金食い虫の父も加わってきました。
父は母に内緒で、勝手に新車を注文していたのです。
極めつけは、おじいちゃんの水虫です。強烈でした。
僕達は蜘蛛の子が散るように”わーっ”と逃げました。
この様に、いつも笑いの絶えない、とても楽しかったおじいちゃん家(ち)の思い出を懐かしむ一方で、数十年後にそのいとこから、ある日突然、内容証明付の謎の”絶縁状”が送付されてきたのです。
つづく
エマさん。こんな私についてどう思いますか?