ケ・セラセラ 2日目・午後14:00・後編 | お気楽ごくらく日記

お気楽ごくらく日記

白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

完全パラレルです~。ロリ○ン蓮さんは、嫌だ~と言う方は、Uターンお願いします。


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((こんなはずじゃなかったのに・・・))

ショータローと村雨は、別々の取調室に連れて行かれ、それぞれ強面で屈強そうな刑事と向き合うハメになっていた。

しかも、手錠で手と椅子とを繋がれるにいたっては、二人とも意識を遠くに飛ばしそうになってしまった。


一方のキョーコは、応接室の様な部屋(それでも、物々しい雰囲気がある。)で婦人警官から、事情聴取を受けていた。



ショータローと村雨は、自分たちのしでかした事の重大さを、ひしひしと感じていた。



                 ~回想~


ショータローと村雨は、学校で待ち合わせをしてヘアーサロンUSHIOへと向かった。


「やっぱ、安芸先輩の言う通りだったな、ショー。」


「ああ。祥子さんに、美容室なら大して仕事はないからって教えてもらってたのは、ラッキーだな。」


「なあなあ。職業体験学習なんて、うざったいだけだから、明日サボらねえ?理由は適当にでっちあげてさ。仮病使ってさ。親に学校に電話を入れて貰ったら、問題ねえだろ?後は、俺もお前も親の目を盗んで外に出るくらいワケねえんだし。祥子さんたちも誘ってさ。」


そのショータローの誘いに、村雨はニヤリと笑って、「いいね。」とその誘いに乗った。


「でも、俺金欠なんだよな。親が、あんまり小遣いくれねえからさ。」とぼそりと村雨がつぶやくと、


ショータローは、「だったら、いい金蔓があるぜ。」とニヤリとして笑った。


「それって、もしかしなくても、最上ちゃん?」


「ああ。あいつは、俺の言いなりだからな。ちょっと言えば、軍資金ぐらいすぐに調達できるぜ!!幸いにも体験学習先が隣同士だしな。今日中にでも金を巻き上げようぜ。」


「けど、琴南ちゃんや天宮ちゃんはどうするよ?あの鉄壁のガードをかわすのは骨だぜ。」


「そうなんだよな。俺もあいつら苦手なんだよ。まあ、家に帰ってからでもせびり取るから問題ないって!!」


そんな相談をしながら二人は歩き出した。後ろにキョーコが今にも泣きそうな顔でいることにも気付かずに。


               ~回想終了~



一方、キョーコが事情聴取を受けている間、蓮はTELをかけていた。相手は、超絶忙しいはずなのに3回のコール音で出てくれた。


「もしもし、父さん?」


「おお、蓮か。元気にやってるか?」


目と鼻の先に住んでると言うのに、全く連絡をしない自分を責めるどころか、気遣ってくれる父の優しさに蓮は温かい物が込み上げてきたが、早急に相談しなければいけない事があるのだと、頭を切り替えた。


「ええ、お陰様で。時間が無いので、単刀直入に用件だけを言いますね。ある女の子を父さんに引き取って欲しいんです。」


「なんだって?」相手は、もう一回聞き返した。それはそうだろう。

そんな事を言われて簡単に「はい、そうですか。」と返事が出来る類の物ではないのだ。

「女の子の名前は”最上キョーコ”ちゃん。一年のほとんどを老舗旅館の松乃園に預けられています。」


「で、問題はここからなんです。松乃園の女将や板長は、彼女を自分の娘のように可愛がっています。けれど、跡取りの一人息子が大問題でして。彼女を自分のモノ扱いしてるんです。今日、その倅がきょーこちゃんを脅して金銭を巻き上げようとしたんです。」


その言葉に、電話の向こうの相手が息を呑むのが分かった。


「幸いにも俺と黒崎さんが、その場に居合わせたので事なきを得たんですが。彼女の友人たちの話では、こういった事は珍しくないそうなんです。恐らく、家では頻繁に」


「お前の言い分は分かった。だが、その子を引き取ったとして、私には何のメリットがある?」


いつもは、愛に生きる父親がこんなに冷酷なことを聞いてくるとは・・・・いや、蓮は最初から分かっていた。こう聞かれることを。だから、

「俺も、貴方の後を継ぐべく家に戻ります。」


「そうか。分かった。彼女の方を何とかしてみよう。」それだけ言うと、電話が切れた。


と、同時に、「あの、美園中学の第2学年の主任をしております、飯塚と申します。この度はうちの生徒が大変ご迷惑をかけて申し訳ございませんでした。」と中年女性が、頭を下げながら蓮に声をかけた。


「あ、いえ。」と蓮もお辞儀をした。


「うちの生徒たちを迎えに来たのですが。あら、最上さん、大丈夫?」と、ちょうど、階段を降りてきたキョーコにその教師は声をかけた。


「はい。あの、ごめ」


「迷惑をかけられたのは、貴女なんだから、謝る必要なんて無いわよ。それより、これから、不破君と村雨君の両親にも来て貰って、学校で話し合いの場を持ちますからね。行きましょう。」


キョーコにとって長い長い時間の始まりだった。


《つづく》