完全パラレルです~。ロリ○ン蓮さんは、嫌だ~と言う方は、Uターンお願いします。
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「こんにちは。お邪魔します。美園中学の緒方と申します。」
そう言って、入って来たのは、若い繊細で儚げな感じの男性教諭だった。
その風貌は、蓮や社よりも雑貨屋の雰囲気にしっくりなじんでいる。
「「「緒方先生、こんにちは。」」」キョーコ達が嬉しそうに声をそろえて挨拶をした。
緒方も挨拶を返すと、蓮たちに向き直ると、「すみません。彼女たちが仕事している所を写真に撮りたいんですが。」そう言った。
蓮と社がどうしようかと悩んでいると、グッドタイミングで荷物が届いたので、社の指導の下、キョーコ達に商品に値札を付けてもらうことにした。
そうして、その様子を緒方がデジカメで撮っていると、何処からともなく尺八や琴の音色、そして、その音の合間に原因不明の音が聞こえてきた。
キョーコ達が不思議そうな顔をしている一方で、蓮と社は頭を抱えて「来たか・・・」と呟いていた。
キョーコ達が不審そうな顔をしていると、なぜか物々しく店の扉が開けられた。普段はクールで、少々のことには動じない奏江と千織も興味津々で外を覗いた。が、途端に口をあんぐりと開けたまま固まってしまった。
緒方に至っては、点目になっている。
店舗の入り口から道路の両端にズラリと5m先まで平安衣装を着た男女が何かしらの楽器を奏でていたのだ。
そして、その先には平成のこの時代にこれまた何故か牛車が置かれ、それに繋がれてる牛が”ンモ~”と平和に鳴いてる。
その牛車から直衣を着て、烏帽子を被った貫禄のある中年男性が降り、真っ直ぐこちらに来ると、緒方の前でぴたりと足を止めた。
「初めまして。美園中学校の先生とお見受けした。私はこの店のオーナーのローリィ・宝田です。以後、お見知りおきを。」
その奇抜さにやや気圧されながらも、「美園中学の緒方と申します。去年は、うちの生徒がご迷惑をかけたにもかかわらず、今年も生徒を受け入れて下さり、誠にありがとうございます。」と深々と頭を下げた。
「ああ、こいつらから去年の事情は聞いて知ってるが、それも若さゆえの特権だろ。」と、去年の事をさして気にもしていない様子で鷹揚に答えた。
そうして、キョーコたちの方を向くと、「随分、棚が綺麗になってるが、君たちがやってくれたのか?」と尋ねた。
3人揃って、頷き、値付けを再開し、緒方もそれに合わせるように何枚か写真を撮ると、「宜しくお願いします。」とローリィ達に頭を下げて、次の場所へと向かった。
キョーコたちの仕事ぶりを眺めているとローリィは、ややしてから、蓮に近付くと、「話があるから来い。」と顎をしゃくった。
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社に後のことを頼んで、ローリィの後について牛車に乗り込むと、やはり、ニッタ~と蓮で遊ぶ気満々の笑顔を向けられた。
「で?どの子だ?」
「何のことです?」無駄だとは思ったが、一応しらばっくれてみると、
フフンと鼻で笑われた。「社から報告は上がってんだよ!!面だけはいいのに、未だに本気の恋もした事のないお前が、10歳近くも年下の女の子に本気で惚れた様だってな。」
そのローリィの言葉に蓮は冷や汗を流す一方、自分を売った社に内心で罵詈雑言を浴びせかけた。
「あなたに、そんなことを一々、報告する必要なんてないでしょう。」
「必要はねえがな。このことを知ったら、周平の奴、泣いて喜ぶだろうなあ。」
まさかここで、偉大すぎる父親の名前を切り出されるとは思わなかった。その名前を聞いて、息が止まりそうなほど驚いてる蓮を見て、ローリィはさらに続けた。
「『蓮は、なんでもソツなくこなすし、あの容貌だから女性がひっきりなしに近寄ってくる。”来る者拒まず、去る者追わず。”で、本気で誰かを好きになっているのを見たことがない。本当に心から好きな女性ができるんだろうか』って、それは随分、心配してたぞ。」
それは、ローリィに教えるまでもなく、蓮自身、周平に言われ続けた言葉だった。
「相手は今は中学生だが、そんなの全く問題にならんだろう。今は、何かと問題があるかもしれんが、20歳を過ぎれば、10歳差のカップルなんてざらにあるしな。頑張れよ。」そう言うと、さっさと蓮を牛車から降ろすと、お供の人間を携えて、もと来た道を引き返していった。
「あの人たちにまで、筒抜けだなんて・・・」そう言って、蓮は片手で顔を覆った。
《つづく》