楽しくなかったら下山しろ。2015年エベレスト、楽しみながら行きます! | 栗城史多オフィシャルブログ Powered by Ameba

楽しくなかったら下山しろ。2015年エベレスト、楽しみながら行きます!

2012年の秋季エベレスト西稜にて、下山途中で強風に遭い、両手両足鼻が重度の凍傷となりました。入院先から「必ず復帰します。」とメッセージを出した時の事は今でも忘れていません。

9本の指を切断してから、リハビリとトレーニングを重ね、昨年ブロードピーク(8047m)に単独・無酸素登頂、そして今再びエベレスト(中国側)に向かいます。

何故そこまでして山に復帰する事ができたのか。以前facebookでも書きましたが、山に復帰する事ができた大きな理由があります。

それは、指を切断した後、尊敬する山の先輩と八ヶ岳へ復帰への訓練に行った時の事です。靴の紐も満足に結ぶ事ができなかった自分に対し、山の先輩から下山途中に「山を見るんじゃなくて、自分を見ろ。自分を見極めろ。」と言われました。そして、その後あらゆる自分を見つめ直していた時に、もう一人の山の先輩から昔言われた事を思い出したのです。

「楽しくなかったら下山しろ。」

挑戦は苦しくても、楽しめる心があると頑張れます。
しかし、楽しむ事を忘れてしまっているという事は、それだけ自分の心が追いつめられている証拠です。

心の余裕を失った時、それが山の事故に遭う一歩手前だという事です。(突発的な事故を除いて)

僕の今までのエベレストへの挑戦は、生中継を行うための資金集め(地上の山登り)への苦悩から始まり、2009年は政治的な問題で足止めされてしまったり、2010年にはエベレストの麓に向かう飛行機が悪天候で一機墜落、ネパール人の友人を亡くし、2011年には取材でベースキャンプを訪れていたベテランの山岳カメラマンがくも膜下出血で亡くなり、という悲しい事がありました。彼らのためにも、合わなかった歯車を合わせなければと必死で登っていました。

しかし、悲しみを抱えたまま山に向かっても、やはりいい結果には結びつきませんでした。

指を失ってから自分を見直し、原点である「山を楽しむ」に立ち返った時に、肉体的なハンデも乗り越えて、ブロードピーク(8047m)を登る事ができました。

もし友人や仲間、大切な家族が何かに挑戦し、楽しめなくなっている人がいたら、この話をシェアして伝えてあげて下さい。

楽しめなくなった時、一度原点に引き返してみましょう。

下山すること、途中で引き返すことを馬鹿にする人もいますが、生きて帰って来なければ次への挑戦もできません。
生き続ける事が大切です。

そして、僕は再びエベレストに向かいます。

これから資金集めを行いながら、5月にはヒマラヤで高所順応を目的とした訓練を行い、低酸素・低気圧室でのトレーニングを行って体を作り、9月中旬エベレスト登頂を目指します。

僕の本当の夢は、エベレスト単独・無酸素登頂成功だけではありません。

本当の夢は、自分と同じように壁にぶつかったり、時には下山したりしながら見えない山を登る全ての人たちと冒険を共有し、夢を応援し合える世界に向かう事です。

夢はその人の大切なアイデンティティです。
それを否定するのではなく、互いに励まし合い、時には下山したり引き返したりしながらも、楽しみながら山(夢)に向かって行ける世界を、エベレスト生中継で冒険を共有することよって、少しでも創る事ができたらと思います。

それがまた、平和な世界に繋がる事を願っています。

シェアして一緒に冒険の共有しましょう!

それでは行ってきます!!


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