K2(8,611m)に向かいます
昔、海外初遠征で単独で北米最高峰のマッキンリーに向かおうとした時、山の先輩にこんなことを言われました。
「次の山のために行きて帰ってこい」と。
山を登り終えた後の下山が大変で、登頂して終了ではなく、次の山のために生きて帰るということです。
そして今、僕はブロードピークを登り終え、次の山に向かおうとしています。
その次の山が、K2(8,611m)でした。
山を登る人なら、誰もが憧れるK2。
正三角形で、ダイヤモンドのように美しい山が、今目の前にあります。
ブロードピークを登ると決めた時、実は心の奥底でK2への想いを眠らせていました。
日本を出発する前に、栗城隊と一部の人のみにK2について伝えていましたが、一番の目標はヒマラヤへの復帰でありブロードピークを登ることなので、他に伝える事はありませんでした。
なぜ今K2かと言うと、ブロードピークを登ることで高所順応ができていて、8000m仕様の身体になっているからです。
またブロードピークのすぐ隣がK2で、ベースキャンプの位置もほとんど変わりません。
体力的には厳しいですが、2つの山を登る事は可能です。
問題は、体力の回復と天候です。
ブロードピーク下山中に台湾隊メンバーのレスキューがあり、思いのほか消耗が激しく、2日間寝込んでいました。
今では体力が元に戻り、あとは天候待ちでした。
実は昨日までの天気予報では、ジェットストリームが南下し登山は難しいという状況でした。
ジェットストリームは、2012年秋のエベレスト西稜で僕の指を奪った、あの強力な風です。
しかし今朝の天気予報ではジェットストリームが弱まり、7-8日登頂の可能性が出たのです。
もう他の登山隊もいなくて寂しくなったベースキャンプが、一瞬盛り上がりました。
ただ今回は、あくまでもK2は余力があって登ってみます、という姿勢で行こうと思います。
K2は非常に厳しい山で、登山中に柔軟な判断をすることが一番大切です。
執着が一番危険なのは、自分でもわかっています。
それに気を付けながら、目の前にある巨大で厳しい山と向き合ってきます。
もう一度挑戦できるのは、もしかするとブロードピークがくれたプレゼントかもしれません。
「次の山のために生きて帰ってこい」この言葉を胸に、K2と向き合ってきます。
いよいよ明後日から、再び「冒険の共有」が始まります。
まずは無理のない範囲で7400mのキャンプ3を目指し、もしも全ての条件が整ったらアタックしたいと思います。
そして本当にうまく行けば、再び山頂からの中継があるかもしれません。
まだ冒険は続きます。
皆さん、あともう少しお付き合いください。
いつも応援ありがとうございます。
※ブロードピーク(8,047m)登頂映像⇒ http://goo.gl/JiiQ4M