苦しみを喜びに変えるために | 栗城史多オフィシャルブログ Powered by Ameba

苦しみを喜びに変えるために

 木野さんが、突然このベースキャンプからいなくなってから3日。いつもダイニングテントの入り口近くで、座ってご飯を食べていた木野さん。またすぐ戻ってくるのではないだろうかという思うぐらい、未だに信じられません。

 高度障害の様子もなく、決してクレバスがあるような危険な所でもなく、ベースキャンプから散歩をするように出かけ、わずかな距離の所で空を見上げて倒れていた。

 あれから3日が立ちました。カトマンズでは隊員の門谷さんと関係会社の社長、事務局のスタッフが対応しております。ヒマラヤでの事故は、大きな外傷以外は司法解剖され、死因が特定されます。しかし、それはご遺族の意志があってできることです。「なぜ?あの熟練した経験の木野さんが・・・」という思いと悲しみが、まだ心の中に残っています。

 しかし、いつまでもここにいるわけにはいけません。今後どうするのか。木野さんなら何を望むのかを決める時が来ました。

 昨日の夜に残っている隊員と話をしました。ここにいるベースキャンプの人達全員の気持ちは一つです。「木野さんと一緒に登ろう」。

 後ろを向いて登るのではなく、前を向き、上を向いて登る。山男の木野さんなら「いつまでベースにいるんだよ」とダイニングテントで言っているように感じます。

 頂上が見えなくなっていたこの3日間。再び、僕は頂上を見上げます。そして、向かいます。天に一番近い所に、木野さんの魂を持って上がる。それが木野さんへの供養になることを信じています。

 明日から、登山再開です。ツイッターも動画も生中継も再開し、「EVEREST SHARE」が始まります。苦しみも喜びもシェアする。それが冒険の世界なのだと改めて感じました。でも、その苦しみを喜びに変えるには、「登頂」するしかないです。

 皆さん、応援宜しくお願いします。


You Tube動画 「22日目 エベレストBC」



You Tube動画 「21日目 エベレストBC 地震発生」