弥勒如来(2) | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

弥勒如来 』より。



如来相の弥勒は、インドでは作例が見つかっておらず、中国、朝鮮半島にはいくつか遺例が知られています。


わが国日本では、7世紀以降いくつかの作例が残されていますが、総数は少ないものとなっています。


弥勒如来の脇侍には、法苑林(ほうおんりん)・大妙相(だいみょうそう)の2菩薩を配することがあります。



わが国での最も古い弥勒如来は、7世紀末の奈良・当麻寺(たいまでら)の塑像(そぞう)で、右手は「施無畏印(せむいいん)」、左手は「与願印(よがんいん)」を結び、結跏趺坐(けっかふざ)するものです。


右手は「施無畏印」、左手は「与願印」を結ぶ弥勒如来像は、その後も立像(りつぞう)、坐像(ざぞう)ともにつくられました。



また、このタイプの変形として、右手の第一・二指を捻る像もあります。



さらにこれらと似たものとして、焼失した奈良・法隆寺西院金堂(さいいんこんどう)壁画の弥勒浄土変(みろくじょうどへん)の中尊像や、同じく法隆寺五重塔の初層にある和銅4年(711年)制作の塑像(そぞう)弥勒浄土変の中尊が、椅子に腰掛けて両足を垂下させる倚像(いぞう)の作例として挙げられます。



この右手は「施無畏印」、左手は「与願印」を結ぶ弥勒如来像から派生したと考えられるものが、白鳳時代に京都・笠置の地に刻まれた、笠置寺弥勒磨崖仏(まがいぶつ)であります。


これは右手を垂下して「与願印」を結び、左手は屈臂(くつび)して第一・二指を捻っていたことが、この磨崖仏を描いた「笠置曼陀羅図」(大和文華館蔵)判明しますが、残念ながら後世の火災のため現在では判然としません。


また、笠置寺磨崖仏の摸刻像が、奈良・大野寺などに伝存しています。