昨日の午後から降り始めた雨は、

今朝まで降り続いた。

芽吹きを呼ぶ雨だと思うと、

気持ちがしっとりする。

今日は啓蟄。



信州で一人暮らしをしていた母が、

地元の自立型ケアハウスに入居したのは、

6年前だった。


90歳過ぎて、新しい仲間や環境になじむ

のは大変だったと思う。

一年後には「お母さんね、今、最高!」

と、うれしい言葉のプレゼントを貰った

けれど。


入居当初は事あるごとに「新参者だから」

と、ちょっとすねたニュアンスの枕詞(?)

を口にしていた。



相模湾の海辺に移住して1年半、

私も母の真似をして「新参者ですが」と

口にしてみる。


周りの方々は地元愛に溢れていて、

いろんなお話をしてくださる。

興味深いのは、半世紀ぐらい前の様子を

教えていただく時である。


昨日も雨の前にと、お散歩に出た。

足を伸ばして、ちょっと遠い和菓子屋さん

に寄った。



私は話の途中で「新参者ですが」と口にした。

すると、80代らしい奥さまは「昔はね」と、

楽しそうに思い出を語り始める。


今は寂れてしまった商店街も、半世紀前は

とても賑やかだったという。

子どもたちの元気な声もいっぱい。


夏祭りには、道の両側に夜店が連なった。

ちょうちんの灯が、海を見下ろす高台まで

続き綺麗だったそうだ。


小学生の子どもの手を引いて、夜店を覗く

楽しさ。

お話を聞きながら私も思い描いた。

和菓子屋さんご夫妻も、若くて張り切って

いたのだろう。


ふんわりした気分になりながら帰宅した。

買った春のお菓子は、ピンク色ばかり。

最近あまり見かけなくなった「すあま」

があって、うれしかった。



今日も一日、無理のないようにお過ごし
くださいね。