今日は静かに晴れている。

海に近いせいか、春先は風が唸るように

吹く日が多い。


先日はスミレが折れてベランダに転がって

いた。

おちょこに入れてキッチンの窓に置いた。

ちゃんと生きてお花を咲かせてくれて、

いじらしい。



最近、スーパーでイワシを見かけることが

増えた。

私だけでなく、今は節約志向の方が多いのか、

スーパーもいろいろ考えてくれるようだ。

イワシは庶民の味方、おいしいのに安い。


お惣菜売り場には、イワシの唐揚げやフライ

が並んでいる。

鮮魚コーナーでは目刺しを見つけた!


私は多分、今まで食べたことがない。

子どもの頃、父が好きで食卓によく出ていた

記憶がある。

串で貫かれた様子がなんだか怖くて、小さな

私は手が出せなかった。


先日初めて食べて、大人の食べ物だと思った。

旨みが深い上に、わたの苦味が加わるから、

まったりした日本酒の味が引き立つ。

シシャモよりインパクトがある。



イワシは足が早いから、生食の機会はあまり

ない。

だから、お刺身やお寿司の握りで食べた日は

幸せな気分になる。

サンマのお刺身とよい勝負だ。


横浜にいた頃、休日の昼間なら生イワシ

の開きが買えた。

私はそれを蒲焼きにして食べるのが好き

だった。

その味は渋谷で覚えた。



渋谷には、イワシの蒲焼き丼専門のお店が

あった。

丼ご飯の上にイワシの蒲焼き、千切り生姜、

シシトウの素揚げ1個が乗っているだけ。


小さなカウンターだけのお店で、男性客が

ほとんど。

仕事で偶然通りがかり、匂いにひきつけ

られた。

私は一人で、ちょっと勇気を出してお店に

入った。


甘さ控えめの蒲焼きで、脂の乗ったイワシ

があっさり食べられた。

たった一つのシシトウも心憎い取り合わせ。

思い出すと、今でも食べたくなる。

シンプルなだけに、イワシの鮮度と味で

勝負していたのだろう。


イワシの蒲焼きだけで集客できるのは、

渋谷だからかもしれない。

そのお店は、東急文化会館(現在のヒカリエ

辺り)の裏道にあった。



再開発の波に飲み込まれないで、今もあって

くれたらうれしい。

でも、もう私が渋谷に行くことはないような

気がする。


渋谷はますます若者の街になってゆく。

私は海辺の町でのんびりと、新鮮なお魚を

食べている方が心が和む。


たまには大人の雰囲気の東京に戻りたいような

気もするけれど。。。



今日は一日、お疲れさまです。

明日も一日、穏やかにお過ごしくださいね。