医療コンサルティングSの高野聖義です。

 

 

2018年診療報酬改定も個別点数の発表に向けての準備が進んでいます。

個別改定の発表後、様々な見解が出ていますが、実務的には最終的な点数を早く見たいというところでしょうか?

 

 

この段階で記事を書くことは気がひける気がします。

これから詳細が出てきますので、今何を言っても頭の中に入らないというのが本当のところです。

 

 

今回の記事では、大きな流れの整理と、今後の方向性について考えていきたいと思います。

 

 

 

日本の医療を考えるに、大前提として超少子高齢化社会への対策があります。

今までとは全く違う、想像もできない社会がこれから進みます。

 

生産人口である60歳以下の人口割合が急激に減ってきます。

経済活動を動かす人口の割合が減るのですから、当然経済は縮小していきます。

しかし、社会保障を受ける高齢者はドンドン増える訳ですので、

日本経済は大変革を求められます。

 

 

今後の社会として求められるのは、

 

 ・病気をしないで元気なままで居られる健康寿命の伸長を第一に考えること

 ・そのためには、予防医療へのシフトが重要であること

 

が、大きなテーマとなります。

 

さらに派生するのは、

 

 ・データの徹底活用(ビックデータ解析と活用)

 ・企業努力による健康生活の徹底

 ・オンライン診療などを使ったAI化、自己管理の徹底

 ・介護分野でのロボットなどを使った自立の実現

 

というようなテーマとなっています。

 

この流れの中で診療報酬改定も進んでいます。

 

 

そのため、オンライン診療や、医師の業務量の削減施策など、

様々な内容となっていますが、これで何が変わるのでしょうか?

 

 

 

今までの医療は、難しい病気を直すということに重きを置いていた部分が

あります。

 

手術等の点数が高いのですから、直接処置を行うことを点数配分的には重視

をしています。

 

しかし、これからは医療機器の評価も含め、全ての見直しが進んでいきます。

特に予防医療に関しては重視されていきます。

 

 

予防医療事業に関しては、企業に任せる方向性です。

健康的な生活を送り、病気が少なくなると期待できる企業には、

社保の部分で、優遇を行うということになります。

 

これは、今までの対処療法を行ったことで保険点数を割り振る

形から、根本的な対策となっていきます。

 

 

医療機関にとっては、患者数が減りますので、収益は減少します。

特に難しい病気への評価は厳しくなります。

 

 

レセプトの電算化、レセプトデータの解析は、特異点を削除させて

いきます。診療科内で平均化し、特出している医療機関への指導は

より多くなってきます。

 

 

全ては総額を減らすという方向性なのですが、データ解析の実施

により、病気の発症率の計算を元にした返戻がより多くなってきます。

 

 

今までは、何ヶ月に1度という形で取れていた点数が、別の次元から

評価されます。

 

全レセプト枚数に対する病名率が著しく高いということは、

今までよりもさらに厳しくなります。

 

 

レセプトデータを解析したことで、保険請求金額がこれだけ下がった

ということは、厚労省内での評価軸となる訳ですから、目を皿のようにして

徹底して返礼をかけていくことと思います。

 

 

対して、予防医療への取り組みに関しては、自治体を巻き込みながら

進んでいきます。

 

 

本腰をかけるということになるのだと思います。

 

 

これからの医療は構造的な変革を求められます。

そのための試金石となっているのが、今回の改正です。

 

点数だけではなく、全体をみる目が必要となります。