お手伝いに | 栗原由佳オフィシャルブログ「comme tous les jours」Powered by Ameba

お手伝いに


レッドソックスの奥さんたちと、また

お手伝いに行ってきました。




ボストンのちょっと北にある

Lawrence、ローレンスという街は、

アメリカ国内でももっとも貧しい街の

ひとつなのだそうです。

子供の75%が、満足な食料が手に入らず

常にお腹をすかせているような状態なんだそうです。


その街の、ある教会の牧師さんが中心となって

Cor Unum meal centerという、食事を無料で

提供する施設が作られました。



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Cor Unum。

「One Heart」という意味のラテン語の名前が

つけられています。

(英語読みをそのままカタカナにするとコア・ウナム、

というかんじです)



この施設は、すべて寄付によってまかなわれて

いるとのこと。


ワーキング・プアの人々や、ホームレス、

子供を抱えた家族や一人暮らしの人など、どんな人でも、

とにかく食べることに困っている、という人たちのために、

365日、栄養バランスを考えられた朝食と夕食が

提供されています。


食料は、先日婦人会でもイベントをしましたが

FoodBankから調達されています。



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低所得者層のためのミールセンター、食料配給所と

いうのはもちろんすでに存在しているのですが、

そういった場所も見学に行った上で、

「列に並んで、ただ食料をもらう、食べる、だけではなく、

(英語だと、’being fed’という表現でした)

体と心の栄養になる食事ができる場所を」と

いうことでこのコア・ウナム・センターは

作られたのだそうです。



なので、雰囲気もとてもあたたかい。


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子供や女性でも安心して来られる場所に

したかったのだそうです。



そして、テーブルも、簡素ではありますが

レストランのようにセッティングされています。



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being fed、「feed」という単語は、やっぱり、

食べ物を「与える」というイメージの言葉。

ただただ食べ物を与えられるだけではなく、

「食事を楽しむ」ことが、心の健康のためには

とても重要だ、と、この施設を作った中心人物、

ポール牧師は考えているそうです。


(↓写真右がポール牧師。隣はミルズコーチの奥さん。

残念、牧師さんの正面からの写真を撮り忘れちゃった!)


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ここがオープンしたのは2006年の9月だそうですが、

それ以来375,000食以上を提供してきたそうです。


もともとは、ポール牧師の教会へ来ている、

助けが必要だった人たちが利用し始め、

そこから話が伝わって広がって、

どんどん新しい人たちが来るようになったそうです。

私たちがお手伝いしたのは8月の平日の夕方。

2時間の決まった時間の中ですが、最初の1時間が

ものすごく忙しくて!この日は394人いらっしゃった

そうです。



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実際に私たちがやったのは、普段からボランティアの

方たちが担っているウェイトレスの役目。

基本的にメニューはフードバンクから調達された

食料次第ということで、決められているのですが、

予想以上の人が来た場合には途中でメニューが

変わることもあるのだそうです。



↓厨房での調理もボランティアでまかなっています。

メニューなども、その日の調理担当者のアイディアが

重要だったりするそうですよ。


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飲み物はジュース、ミルク、コーヒー。

前菜としてお野菜など、そしてメインのお料理。

この日はターキーといんげんとライスでした。

そしてデザートも用意されています。


↓フードバンクから調達されたいんげんの缶詰。

大量に使われています。


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決められた2時間のうちに来た人はすべて受け入れ

(他の利用者に迷惑をかけたり問題を起こしたりする人は

どうしてもお断りするそうですが)、食事も飲み物も、

お腹いっぱいになるまでおかわり自由です。



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4時半の夕食スタート時には、建物の外にもう

待っている人がずいぶんいました。


何より、子供連れ、子供だけ(!)という利用者が

とても多いことにびっくり。

やはり子供でも安心して連れてこれるような場所と

いうのは低所得の家庭にとってとても貴重なのだ

ということでした。


そして、配給所に食糧をもらいにいく、のではなく

「今日は外食にしようね」という雰囲気で食事が

できるというのは、子供や親自身の精神的な部分でも

プラスになることが多いのだとか。


どの方も、すみからすみまできれいに食べて

くださって、あ~お腹いっぱいだ!と笑顔で帰って

いかれるのを見送ると、なんだか「ああ、よかった」と

涙が出てくるような気分。



ポール牧師曰く、こうした場所がいらなくなることが

一番の目的で、そのためにも後からレストランとして

十分に利用できるレベルの建物を作った、とのこと。

そして、街全体の環境がよくなるためには、

やはり「食べることに困らない」ことがとても大きな

要因になるのだということでした。


お腹いっぱい朝ごはんを食べて、学校へいって

しっかり勉強する、しっかり働く、それがやはり

将来をプラスにしていくのだそうです。



月末に近くなると、どうしても生活費が苦しくなってくる

家庭が増えて、ここに食事にくる人も増えるそうで、

私が行ったときは400弱でしたが、600とか700とか

一晩で食事を出すこともあるということでした。



利用者の方によると、自分で列に並んで、食べものを

受け取って・・・というのではなく、席について、

ウェイター・ウェイトレスの役割をするボランティアが

普通のレストランのように「How are you this evening?」と

話しかけてくれて、注文を取って(バリエーションは少ない

けれどね)、あたたかい食事を持って来てくれる、という

その雰囲気だけで、とても幸せな気持ちになると

いうことでした。



担当のテーブルについた方たちにサーブしながら、

いったいどんな思いでここへ来ることにしたのか、

どんな生活をしている方なのか、

普段はどんな食事をしているのだろうか、

いろいろ考えそうになってしまい、

でも考えると涙が出てきちゃって、

ああ、こんなあったかい安心できる場所ができて、

ほんとに良かったですね、また来て、きっと苦しいことも

多い毎日だけれど頑張って、少しでも笑顔の時間を長く

作ってくださいね、と心の中で繰り返す2時間でした。



レッドソックスでは、ローウェル選手が以前ここに

寄付をしたということでつながりがあり、

ローウェル夫人バーサが奥さんたちに呼びかけて

今回お手伝いをさせてもらいました。

去年までレッドソックスにいたショーン・ケイシー選手も

以前寄付をしたり、朝食のサーブのお手伝いなどに

来たことがあるそうです。





毎日食べる、ということ。



ちゃんと、心して食事に向かわなくてはいけない、と

私も子供たちにちゃんと伝えなくてはいけない、と

強く思いました。



遠く貧しい国の人、ではなく、

同じアメリカの、すぐ近くの街で、

今夜の食事にも困っている人がいるという現実。


知らないでは済まされない、と

今これを書きながらも涙が出そうです。



(これでも十分に長いけれど

明日につづく。)