- チェ・ゲバラ伝/三好 徹
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「チェ・ゲバラ伝」 三好 徹 著 原書房
キューバから帰国しました。キューバでは、革命博物館、ゲバラ第一邸宅、カバーニャ要塞のゲバラの執務室、サンタクララのゲバラ霊廟などなど、ゲバラ関連のところは出来る限り見てきました。
出発前の記事にある『地球の歩き方』には、ゲバラ研究所(第二ゲバラ邸宅)が2007年にオープンしたと書いてあったので行ってきましたが、まだ工事中でした。数時間は立ち直れないほどのショックを受けました。工事が進んでいる様子がなかったので、資材がなくなって工事が中断してるのかもしれません。その辺にいた警備員に、いつ完成するか聞いたら、「たぶん来年くらいじゃない?(スペイン語。意訳。)」と言われたので、3年後にできてれば良い方だと思います。行かれる方は、お気をつけください。
本題に戻って、この『チェ・ゲバラ伝』は、ゲバラの一生が非常に分かりやすく書かれています。初心者にも一通りゲバラを知ってる人にも、満足いく1冊です。私の場合は、キューバに行く前に途中まで読んで、帰ってきてから続きを読みました。出発前は時間が足りなくてそうなっただけなのですが、旅行前に予習をして、さらに現地でゲバラの足跡を強く感じてから続きを読めたことで、よりいっそう感じ入るものがありました。
ゲバラ霊廟では、泣けて泣けてしょうがなかったのですが、ボリビアの森を見つめて立っているゲバラの大きな銅像を見て、それからこの本のボリビアでの壮絶なゲリラの日々の部分を読んで、また霊廟にいるときの空気や気持ちを思い出して、泣きました。
革命後、ゲバラが日本に来た際、日本政府に内緒で広島に行ったことは有名ですが、トヨタ自動車の工場(愛知県豊田市)にも来ていたことは、この本を読んで初めて知りました。ゲバラは、そこで日本人の働き者ぶりに感心したそうですが、今のトヨタのやり方は、たぶんゲバラが嫌うものになってしまってるだろうなぁ。
初めて行ったのではっきりは分かりませんが、キューバは今、過渡期にあるような気がしました。個人の商売が一部でできるようになって、貧富の差が少しずつ出てきているように思います。私たちにお金をせびる人の多かったことといったら、悲しくなるほどです。それを咎める革命世代の人たちの存在が救いになりましたが、彼らはこの現状をどう思っているだろうと考えると、泣けてしまいます。
貧しい人たちが不当に搾取されない、平等な社会を作ろうというゲバラの理想は、キューバ革命で頂点を迎えて、でも時代の流れに抗いきれないものがあったのかなと考えて、相当へこみました。でも、それなら今からまたどうしたらいいか考え直そうと思います。
そういう気持ちが弱ったときに、何度でもこの本を読み直します。