【朝コラ】災害復旧は「予算内」で実現すべし | (仮)アホを自覚し努力を続ける!

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アウグスティヌスの格言「己の実力が不充分であることを知る事が己の実力を充実させる」

クラウドの導入、社内での工夫、データセンターの選び方……選択肢はいろいろ
(米国CIOエグゼクティブ・カウンシル)


 CIOは、赤字にならないよう気をつけながら、ビジネス・リカバリを実現する選択肢を常に模索している。どのような選択肢を選ぶかは企業の事情によって異なるだろうが、実際のところ、どんなソリューションが存在するのだろうか――3人の現役CIOが自らの経験を語る。


基幹システムのバックアップを用意しておく――ティム・バービー氏

 2011年初頭、私はビジネス・インパクト分析を確立し、政府機関の各部門における最新の災害復旧要件について取りまとめるプロジェクトをスタートさせた。そこで算出された数字には正直うんざりしてしまった。膨大な数のシステムが影響を受け、復旧には100万ドル以上の費用がかかるというのだ。新聞の見出しを読めば分かるとおり、各州政府機関は財政危機に直面しているため、願わくは使用しないで済ませたい災害復旧機能について予算を要求する余裕はない。しかし、たとえ財政的に厳しかろうとも復旧機能は準備しておくべき極めて重要なサービスである。

 災害復旧計画で最も値の張る要件の1つにバックアップ用のデータセンターがあるが、その予算が足りない。私は、ほぼ同等の働きをしてくれるクリエイティブかつ費用効率の高い方法に興味を持っている。例えば、マイクロソフトのクラウド・ビジネス・ソリューション「Office 365」は、クラウドからアクセス可能なホスト型電子メール・プラットフォームを提供している。理論的に言えば、我々が災害時に必要なのは、ノートPCとインターネット・アクセスだけだ。Office 365のサービスにはデータのバックアップと復旧機能が含まれており、追加費用はかからない。電子メール、通信、基幹システムへの災害復旧アプローチとして十分なソリューションだと考えている


テレビ番組枠のようにバックアップの作業スペースを割り当てる――マーティ・ゴムバーグ氏

 私のアイデアはシンプルだ。我が社のエンドユーザーは基幹システムにすぐアクセスできなければならないが、災害時に通常と同じように8時間ずっとアクセスできなければならないわけではない。むしろ基幹職員は、決められた時間割の中で自分の重要タスクを完了できるはずである。

 そこで我々は、会議室の座席数を数え、24時間のうちの1時間をそれぞれの席に割り振った。また、基幹職員にそうした時間枠を割り当てるよう各事業部門に依頼した。例えば、買掛金勘定を担当する社員なら、優先度の高い仕事を完了させるために3座席をそれぞれ3時間ずつリクエストできるようにしたのである。すべてのタスクは予定が決められ、優先順位が付けられている。仮想化サービスについても、まったく同様の時間割り当てを適用した。シトリックスのライセンスを一定数数購入し、社員がリモート環境で基幹業務を遂行できる仮想的な座席に割り振った。

 物理アクセスと仮想アクセスのローテーションを組み合わせることで、何百人もの社員それぞれの最重要タスクをサポートできるようになる。また、このモデルは危機管理体制の運用費削減にもつながる。必要な事前計画を立てておけば、災害時でも継続すべき最重要タスクと保留しても差し支えない業務を特定できるのだ。


明白なリソースだけではなく、ありとあらゆるものを活用せよ――ポール T. コッティ氏

 あらゆる災害に備える緊急時対応策を策定する際、大金の絡む基幹システムのことばかりを心配し、つい忘れがちになるのが「守るべき最も重要な(かつ最もお金のかからない)リソースは社員」だという点である。

 災害時に主要なスタッフと連絡が取れるかどうかは、まさにシステムにかかっていることに我々は気が付いた。問題のシステムがダウンする可能性は十分にあり、電子メール・システムなどに保存されている連絡先を参照できないかもしれない。このため、重要なITサポート・スタッフの電子メールアドレスと電話番号のリストはハードコピーでも保管することにした。システムがダウンした場合でも、“ローテク”なやり方でなら部下に連絡が取れるというわけだ。

 データセンターについては、我々の運命は一次プロバイダーおよびその複数の顧客と一心同体と言える。我々がバックアップ用のサーバを必要に応じて設定する一方で、プロバイダー側は発電機、ディーゼル燃料、冷気、ネットワーク管理リソースを提供する。

 こうした準備はある意味、災害時に確保が困難になるデータセンターのスペースをあらかじめ予約しておくようなものだ。費用はもちろん重要で、それゆえデータセンター選定時には、災害復旧に関連した重要問題についても検討する必要に迫られた。現在支払っている料金はかなり安価であるものの、高品質な災害復旧機能を有している。同じデータセンターで基幹システムを稼働させている大規模企業とスペースを共有することに同意したため、低料金が実現できた。データセンターを選ぶ際に、他に契約している具体的な企業名を調査して、我々よりも高い災害復旧基準を要する企業にスペースの共有を依頼したのだ。ときには大きな池の中の小さな魚でいることも有益なのである。