【朝コラ】ITの価値をビジネス部門にうまく伝えるには? | (仮)アホを自覚し努力を続ける!

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アウグスティヌスの格言「己の実力が不充分であることを知る事が己の実力を充実させる」

「貢献度を数値化する」、「ITスタッフにビジネス意識を持たせる」、「ビジネス戦略を牽引する」――米国企業の
3人のCIOが説く
(CIOエグゼクティブ・カウンシル)


 ITが自社の事業にもたらす価値を、ビジネス部門に理解してもらうにはどうすればよいのだろうか。米国企業の3名のCIOが、彼らが実践する、ビジネス部門にITの価値を説く方法を教えてくれた。



「『営業貢献』を数値化して示せ」――ウィリアム・ブラウジー氏

 ビジネスに対するITの最大の貢献は、システムを稼働させ続けることでも、メンテナンス・コストを削減することでもなく、財政面やパフォーマンス面に関する全社的な目標に好影響を与えることにある。IT業務のあらゆる場面でこうした考え方を念頭に置くために、我々はIT戦略に「営業貢献(Operational Contribution)」というコンセプトを取り入れた。

 この営業貢献の判定基準は、我が社で実施するプロジェクトだけでなく、監査プロセスにも採用されている。貢献度評価の一環として、私の部下たちはプロジェクトの運営パートナーや営業パートナーと協力し、運転資本の減額や販売拡大、IT部門外の経費削減といった当該プロジェクトの成果に対するITの役割や貢献についてあらかじめ見解を一致させておくようにしている。

 例えば最近のケースで言うと、IT部門はある法務プロジェクトの経費管理を担当し、75万ドル相当の貢献をした。加えて、我々はプロセス改善にも技術的な支援を行っており、これを計算に入れれば、ITの貢献度は年間200万ドル以上になることがわかっている。

 また、会社の上層部では、ポートフォリオ管理の検討会議を開き、他部門の役員やIT部門のリーダーたちがこれに参加して、翌年の計画について話し合うだけでなく、直近の大型プロジェクトを振り返るといったこともやっている。ITの価値を評価する他のすべての場と同様、この検討会議でもプロジェクトの運営サイドが議論に加わるのが常だ。相手がだれであろうと、我々はパートナーシップの1メンバーとしての価値を常に示さなければならない。「ITはこれだけのことを成し遂げた」と一方的に主張するだけでは軋轢が生まれるだけであり、将来的な信用まで失うおそれがあるのだ。


「ITスタッフにもビジネスへの意識を持たせよ」――アナベル・ベクシガ氏

 ITが業績に好影響を及ぼすことを説明するのは、別にCIOだけの責務ではない。IT部門の全スタッフが、企業の上層部から理解と支持を得られるよう努力する必要がある。CIOはあらゆるレベルのディスカッションにそうした考え方を織り交ぜ、部下に周知徹底していかなければならない。

 ただし、これには時間がかかるので、彼らの間にすぐには浸透しなくても、決して落胆しないことだ。例えば、私の場合は、営業系部門と密接にかかわっているマネジャーらを招き、ビジネス部門がどのような仕事をどうやって遂行しているのかを他のスタッフに説明してもらうところから始めた。他部署の人たちにとってITがわけのわからない存在であるのと同様に、ITスタッフからしてみれば、営業部門はその実態以上にミステリアスな存在だ。そのため、ITスタッフは彼らに質問したり、提案したりするのを躊躇してしまうのである。

 また、社内会議用のリポートも、技術プロジェクトに関する説明資料ではなく、ITが営業部門の業績に対して与える影響を説明するものへと変えた。現在、ITマネジャーらが作成するリポートは、ビジネス・プロセス/アプリケーションの変更案や、IT部門がそれらの変更を支援する方法などに焦点を当てたものへと進化している。私の直属の部下で、全営業部門のITを統括している管理者らも、アプリケーションの種類にかかわらず、今では投資や開発に途中段階から本格的に参加するようになり、営業部門の真のパートナーとして大いに働いている。こうした体制を整えれば、ITは企業に価値をもたらすものだという考え方が、やがて全社に定着するはずだ。


「ビジネス戦略を牽引する一翼となれ」――ジェーン・モラン氏

 2008年にトムソン・ファイナンシャルとロイターズのIT部門が合併したことで、突如として膨れ上がった各部門にまたがる数千ものアプリケーション・ユーザーが私の管轄下に入ることとなった。こうした環境では、販売および顧客サービス部門の幹部社員たちと緊密な連携をとることが、今まで以上に重要となる。そこで我が社では、共同運営委員会を立ち上げて、全部門のビジネス戦略を決定し、プロジェクトのビジネス上の課題を共に解決するためのロードマップを作成している。また、社内でのポジションに関係なく、常に同じビジネス目標の下に議論を交わすよう努めている。

 私は自分の部下に対しても、ただ会議に参加するだけでなく、こうしたパートナーシップに積極的に関与することを求めてきた。ITの価値を他部門に伝える際の基本は、日々の交流にあるからだ。人は自分で経験すれば、その価値を理解できるものである。

 我が社の全社員とのコミュニケーションを図るために、私は自社の企業理念をフル活用している。すなわち、テクノロジーの裏打ちによって力を得た共通のプロセスが存在してこそ、組織変革に多大な影響を及ぼせるという考え方だ。業務目標に関して上層部が発するメッセージには常にこの哲学を反映させており、私の配下にない社員や組織でも、現在我々が会社側に何を提案しているのかを把握できるようになっている。