季節風
襟元くすぐる
やさしい風が
新たな季節を連れて来る
今年も一面咲くでしょう
都忘れの花々が
歌うように誘うように
あなたを忘れてしまいなさいと
やさしい風よ伝えておくれ
私のこころを香りとともに
忘れぬぬくもり運んでおくれ
見上げた山々頂に
まばらに光る残雪が
輝く冬を名残らせる
風よ
生まれたばかりの風よ
私のこころのぬくもりを
乗せてやさしい季節を告げよ
kuribow
扉のむこう
誰もいない世界の
誰もいない森で
何百年もたっていた
大木突然倒れても
誰もいない森の中
静まり返ったままだろう
音は声も
誰かに伝えるためにある
たとえそれらが
自分自身に向けたとしても
うたもことばも
青き扉のむこうにひろがる
宇宙に音はあるのだろうか
kuribow
朝(あした)の言葉
つかの間
まどろみたのしんで
夜が明けても
言葉は出ない
生まれたばかりの朝だから
なんの言葉も知らないだけさ
朝一番にさえずる鳥よ
おまえの言葉を教えておくれ
絶えず流れる窓辺の川よ
おまえの秘密を教えておくれ
ぼくらが言葉を覚えたら
ふたりで言の葉浮かべてみよう
いくつもいくつも浮かべてみよう
それらは流れ流されて
いつしか本を紡ぐだろう
やわらかな風が頁をめくってくれる
ぼくらの生命の物語
kuribow