今日の一冊: 火の鳥5 羽衣編 | サラリーマンの趣味ブログ

サラリーマンの趣味ブログ

今は3児の父のサラリーマン。
趣味は読書、プロ野球(ライオンズファン)、お酒、楽器演奏、ラーメン、男飯etc…

出張の多い仕事なので、実際に行った全国のお店や観光地なんかを紹介してます!

今日は、一冊の本を紹介する「今日の一冊」シリーズです本

 

今日、紹介する一冊はこちら下差し

 

『火の鳥5 羽衣編』

 

『火の鳥』は、火の鳥(不死鳥)を物語の中心にした手塚治虫による連作シリーズ漫画です。
シリーズは、「黎明編」「未来編」「ヤマト編」「異形編」「鳳凰編」「復活編」「羽衣編」「望郷編」「乱世編」「宇宙編」「生命編」「太陽編」「ギリシャ編」「ローマ編」と14編が文庫化されています。
各エピソードは1つの物語として完結していますが、その生き血を飲めば永遠の命を得られるという「火の鳥」は全編に登場し、時代を超えて「生と死」について描かれた壮大なドラマです。
手塚治虫の代表作にしてライフワークとなった作品で、過去、未来、過去、未来、と交互に「現代」に近付いて描かれていき、「自分の死亡時刻」を現代として「現代編」を死ぬ瞬間に1コマ程度描くという構想だったそうですが、残念ながらそれは叶わないませんでした。

「羽衣編」は、日本に古くから伝わる「羽衣伝説」を元にした作品です。
非常に短いショートストーリーになっています。

猟師のズクは、海岸の松の木に掛けられた美しい布を見つけ、それを売って金を得ようとします。
すると女の声がして、その布は自分のものなので返して欲しいと言いました。
ズクが素性をただすと、女はおときと名乗り、遠い空の上の国から旅をしてきたと答えました。
おときが天女だと思ったズクは、一緒に住んでくれないかと頼みます。
実はおときは、タイムトラベルをしてきた未来人だったのです。
未来の布が売られてしまえば、歴史が変わってしまいます。
それを恐れたおときはズクと暮らしはじめ、やがて、子どももできました。
そんなある日、都の侍がズクを兵隊にするために連れに来ました。
おときはズクを助けるために、布を侍に渡してしまいます。
そして、ズクはおときは子どもはどうなってしまうのか…

この「羽衣編」は、斬新な演出になっています。
と言うのも、最初は1つの舞台劇場に大勢のお客さんが入っているシーンから始まります。
そして、幕が開き舞台が始まります。
その後は、全編を固定した背景で、我々も舞台劇を見ているような感覚でストーリーが進んでいくという構成になっています。

実は、連載当時は、核戦争の犠牲者を主人公にした、反戦テーマが強く前面に出た作品で、その中に放射線障害をあつかった部分があったそうです。
しかし、そうした内容は軽々にあつかえるものではないということで、長らく単行本化されませんでした。
その後1980年になって、セリフを全面的に書きあらため、ようやく単行本化が実現しました。
本来は、次の「望郷編」に繋がるストーリーだったようですが、そのような理由から、1話読み切りの短編物語になっています。

他のストーリーとは少し違って、「反戦」が大きなテーマとなっているようです。
ただ、戦争を通して命の大切さを伝えています。

斬新な演出とストーリーでグイグイ引き込まれる作品です。
短編ながら、大切なことをしっかりと伝えてくれます!