南相馬の猫おばさんこと吉田さんが、この度自費出版された本です。

 

吉田さんとワタシのつながりですが、警戒区域内に入った当初から、

自分一人で動けるようになるまで、何度かご一緒させて頂きました。

 

この本を読むうち、あれから10年近く経つというのに、

南相馬まで二本松インターからの遠い夜中の恐怖の山越えのことや、

繋がれたまま死んでいった犬の亡骸を見つけた時の絶望感や、

ありふれた道で出会ったまま二度と再会することのなかった猫の模様まで、

事細かく蘇って来ました。

 

当時は自分達もどれだけ被ばくするか知れないのに、

猫がいるからと原発の敷地のフェンスまで向かっていける人達の熱意を、

人として本当に凄いと感じたものです。

そんな行為、誰も見てもいないし、称賛などしてくれる人もいないのですから。

 

そして、原発については、未解決の問題が山積したままこの10年、

オリンピックの開催だとか、他の自然災害のことだとか、

感染症の流行にかき消されてしまい、世論も忘れかけてしまっている

現状があるので、このように本として残して頂けることは、

本当に意義があると思うのです。

 

特に第二章「原発神話と浪江町請戸地区の悲劇」は、

これまで知らなかった原発が誘致される歴史が書かれており、

唯一の被爆国でありながら、どうしてこんなことになってしまったのか、

一人でも多くの人に読んで貰いたいです。

 

本に掲載されていたアドレスです。

sekata31@gmail.com