もう、この場所で生きていくには

限界だったのだと思う。


オッパイがはっているようだけど、

まだ産まれる前だと判断して、

それでも絶対とはいえなくて

急いで犬とり名人シェルターに搬送して

みてもらう。

名人も同じ見解で、いつ産まれてもいいようにと

すぐにケージに移してくれた。


このあと、ケージで出たウンチが真っ黒で、

これは牛糞を食べていたのではないかとのこと。


この近くには餌場も無くて、あちこちに彷徨いながら

3年以上前に餓死させられた牛の堆積した糞を食べて

生きて来たなんて、切なすぎるよ。


残された猫なんて完全放置のこの国だけど、

被害者は人間だけじゃないんだよ!って叫びたい。






名人シェルターで、

いつも訪れる人や保護された猫のこと

じっと見てる名人宅の愛犬ちゃん。


お!今度は誰を連れて来たんだ~

って顔。


この首を傾げた仕草を見ると、

きついレスキューの合い間でも、

必ず笑顔になれてしまう。


さて、また給餌に戻らなければ・・・






ジャングルジムに据え付けられた

とらまるさんの給餌器。


たくさんのカラスが旋回。

不審に思い中を見ると、案の定空っぽ。

前日、ボラさんが補充したはずなのに、

カラス達が中のタッパーを器用にひっくり返して、

食べてしまったようだ。


タッパーに新たにフードを入れ定位置に固定。

この時、もう既に夕方5時を回ってて、この時間

ふらふらしてるとまたパトカーに追いかけられる。


数時間後に迫ったR6開通の為か、

やたらパトカーや自警団の車が目立つ。






今夜、南相馬にお泊り予定。


明日の予定の関係での宿泊で

保護目的では無かったのだけど・・・


日中圏内でバッタリ会った

踊る保護活動家みやちゃんの

「保護出来るときにしなくちゃ!」の言葉に

すっかりその気になって掛けてしまった。


彼女が抱える猫の多さに驚嘆しながら、

ワタシなんてまだまだで、

もう少しいけてしまうんじゃないかという

錯覚に完全に陥ってしまった。



そして、翌朝7時過ぎ。






人生二度目のラスカルちゃん汗


タオルを引き込んで、ウンチまでしてくれちゃって

生臭さも強烈。

このお片づけに要した時間、30分。


お昼には東京に到着予定だったのですけど・・・。


もう一台、先日3年半ぶりに飼い主さんと再会した

トラ子ちゃん宅の敷地に掛けた捕獲器も回収。

こちらは、餌だけ持ち逃げ。


仕方なく、捕獲器をクルマに載せようとした

丁度その時、誰かの視線を感じるんですけど・・・。





うそっ








ごっくん


ずっと会いたかった

足を怪我したシャムMIXちゃん。


こんなに遠くにも来てたんだね。

かなり広範囲をフードを求めて彷徨っている。


この子は頭が良くて、捕獲器には入らない。

煮干を手に近づくと1.5Mくらいまでは

近づくことが出来る。

この距離のとり方は人間を知ってる子だと思う。


網を借りようと、犬とり名人に相談にいき、

網は失敗すると恐怖感を植えつけるからと

出てきた極秘最新アイテム。





名人オリジナルブランド、

一見とらまるさんの給餌器の形をした

猫ちゃんほいほいキラキラ



既にシェルターの猫で実験済み。

実際、大人気らしい。







あっちへバタバタ、こっちへバタバタ、

行ったり来たりしてるワタシをソファーの上で

人事のように眺めてるシャムMIXちゃん。


ワタシはアナタに翻弄されている訳ですけど。


こんなに近くにいるのに、

手を伸ばせば届きそうなのに、もどかしすぎる。


今度会える約束なんて出来ないのだから。


この後、後ろ髪を十分にひかれながら、

名人にバトンタッチして、浪江のバリケードを出る。


この日、ひとつの大きな局面を迎えた。

警戒区域設定時から縮小されながら続いた

R6の検問が完全撤廃された。






わたしが通った双葉への入り口も

昨日の給餌を最後に、厳しくなってしまった。


R6沿いのこれまで時間によって開いていた

バリケードも全てが封鎖され

ガードマンが各所に配置された。


初日とあって警察車両や警官も総出で、

地元のテレビクルーもやって来て、

今後バリケードの中の警備も強化されるのだという。


三角屋の交差点など余りにものものしい雰囲気で

ひどく気持ちがしらけきってしまった。


現地の状況を目の当たりにして感じることは、

答えはもう見えているのに、感情論を楯にして

実際ひどく打算的で、人間の欲は止まらない、

ということ。

この国の財政破綻は、案外近いのかもしれない。


張り巡らされた鉄の墓標があまりに異様な

R6の光景。新たな局面を迎えても、

猫達にとって何か変わることは無く、

今日もお腹を空かせて草の中を彷徨っている。