置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

犬とり名人宅シェルターにて


今日はね、デニッシュちゃんに会えるから、

それだけを心の支えに福島までクルマを走らせた。


前回、圏内入りした時、わたしが捕獲器を掛け、

翌朝犬とり名人が保護してくれた子。

獣医さんによれば推定2歳、震災後生まれの子。

人間を知らずに生きてきたはずなのに

大人しくて、とても落ち着いたいい猫だよ。

チョコ風味デニッシュちゃんチョコレート



置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


デニッシュちゃん保護の後、

同じ場所で2匹の黒猫ちゃんが保護され

手術のあと、ここに戻って来るから、

かのとらまるさんが、給餌器を置いてくれたのだそうだ。


連れて帰れる子、帰れない子。


手術を終え、耳をカットされた黒猫ちゃん達、

ほか数匹リリースを待つ子達が、犬とり名人のシェルターで

傷をを癒していた。


汚染水が外海にまで広がる中、本当にいつ人が帰れるかなんて

分からない場所にリリースするのは苦渋の選択でしかない。

無駄にした義援金のうち一握りでもいいから、

この子達を助ける為に使って欲しかった。

みんな、どれだけ助けたいと思っても不幸な猫の数が

星の数よりも多くて、どうすることも出来ない。


そして、TNRを待たずに、また秋の仔猫が

生まれてる。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


長期帰還困難区域の中でも、クルマが入れなくなってる

難易度AAAの場所にて。


今日、勇気を振り絞って掛けてみた。

走って走って走って。

喘息の発作が起きそうなくらい。







置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


まだ、大人になってないおチビちゃん。

危険の途中だということを忘れて

自然と笑みがこぼれてしまう。


それなのに・・・









置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


バイバイするしかなかったよ。

確認のため、おっぱいを見て言葉を失う。


自分もまだ、仔猫と変わらない小さな身体で

赤ちゃんを育てていたんだね。


この場所は、一昨年よりずっと

給餌を続けて来たけれど、

再編によって入るのが困難になってる上

カラスが狙ってる事も多く、

たまに届くご飯を、野性動物とも分け合って

必死に命を繋いできたはず。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

なかなか、捕獲器から出てこようとしない白猫ちゃん。

暫く迷って、わたしも迷って、このまま連れ帰ろうと思った瞬間。


監視カメラが光る中、真っ直ぐにバリケードの中に消えていった。


もう少し勇気をもって、

早い時期に保護してあげれば良かった。

何と引き換えなら、もう一度この子を保護出来る?


わたしのココロに、

鉄のバリケードがぶっ刺さったまま、

道路にへたり込む。