今日はね、デニッシュちゃんに会えるから、
それだけを心の支えに福島までクルマを走らせた。
前回、圏内入りした時、わたしが捕獲器を掛け、
翌朝犬とり名人が保護してくれた子。
獣医さんによれば推定2歳、震災後生まれの子。
人間を知らずに生きてきたはずなのに
大人しくて、とても落ち着いたいい猫だよ。
チョコ風味デニッシュちゃん
デニッシュちゃん保護の後、
同じ場所で2匹の黒猫ちゃんが保護され
手術のあと、ここに戻って来るから、
かのとらまるさんが、給餌器を置いてくれたのだそうだ。
連れて帰れる子、帰れない子。
手術を終え、耳をカットされた黒猫ちゃん達、
ほか数匹リリースを待つ子達が、犬とり名人のシェルターで
傷をを癒していた。
汚染水が外海にまで広がる中、本当にいつ人が帰れるかなんて
分からない場所にリリースするのは苦渋の選択でしかない。
無駄にした義援金のうち一握りでもいいから、
この子達を助ける為に使って欲しかった。
みんな、どれだけ助けたいと思っても不幸な猫の数が
星の数よりも多くて、どうすることも出来ない。
そして、TNRを待たずに、また秋の仔猫が
生まれてる。
長期帰還困難区域の中でも、クルマが入れなくなってる
難易度AAAの場所にて。
今日、勇気を振り絞って掛けてみた。
走って走って走って。
喘息の発作が起きそうなくらい。
まだ、大人になってないおチビちゃん。
危険の途中だということを忘れて
自然と笑みがこぼれてしまう。
それなのに・・・
バイバイするしかなかったよ。
確認のため、おっぱいを見て言葉を失う。
自分もまだ、仔猫と変わらない小さな身体で
赤ちゃんを育てていたんだね。
この場所は、一昨年よりずっと
給餌を続けて来たけれど、
再編によって入るのが困難になってる上
カラスが狙ってる事も多く、
たまに届くご飯を、野性動物とも分け合って
必死に命を繋いできたはず。
なかなか、捕獲器から出てこようとしない白猫ちゃん。
暫く迷って、わたしも迷って、このまま連れ帰ろうと思った瞬間。
監視カメラが光る中、真っ直ぐにバリケードの中に消えていった。
もう少し勇気をもって、
早い時期に保護してあげれば良かった。
何と引き換えなら、もう一度この子を保護出来る?
わたしのココロに、
鉄のバリケードがぶっ刺さったまま、
道路にへたり込む。