台湾での世論調査によれば、台湾では日本に好感を持っている人が他国に比べて多いのだという。

 

今回の能登半島地震でも台湾からはいち早く多額の義援金が送られてきた。

 

このような台湾の人たちの親日気質については、台湾と日本との間に経済的・領土的な対立や緊張感が少ないからである、と分析している学者もいた。

 

確かにそのような側面もあると思うが、台湾の人の親日気質の根っこにはもっと本質的なものがあるように思う。

 

 

 

今から30年くらい前、台北に旅行に行ったことがあった。

 

台湾では、中国本土で使われている「簡体字」(従来の漢字を簡略した字体)ではなく、「繁体字」という簡略化される前の言わば正式な漢字が使われている。

 

漢字の偏や作りからその字の読みや意味を推測する癖がついているわれわれ日本人にとっては、簡体字よりも繁体字のほうが馴染みやすいし、字が意味するところも「当たらずも遠からず」という程度であれば判断しうる部分がある。

 

現地の空港に着いて目に入った大きな時計の看板に「労力士」とあるのを見て、すぐに「ああ、ロレックスのことだな。」と判って親しみを感じた。

 

このような感覚は、台湾の人たちが日本に旅行に来たときにも同じように感じている可能性がある。

 

また、台湾の街中には日本にあるようなうどん屋さんが普通にあり、ある年齢以上の現地の人は日本語が話せるので、一人で街歩きをしてお店に入っても全く不自由を感じなかった。

 

勿論これらは、戦時中台湾が日本の植民地となり、日本の国民学校を中核とする教育制度が施行されて皇民化政策が採られたことなどの反映ではある。

 

しかしそのような中にありながらも、台湾の人たちの中には、植民地時代に日本が残していった教育制度とか司法・行政制度などについて、押し付けられたものと捉えるばかりではなく、むしろ積極的に評価する空気も少なからず存在するように思われた。

 

実際、お店に入って現地のお年寄りと日本語で日本のことについていろいろ話をしてみると、国民学校を懐かしがる人も居たし、日本が残していった制度等のあれこれが今日の台湾経済等の礎になっている、として控えめながらも感謝の感情を示す人も居た。

 

私は学者ではないのでこれらについて研究や分析をしたわけではないし、既に同趣旨の分析をしている研究者もいることとは思う。

 

ただいずれにしても、「緊張や対立が少ないので好感を持っている人が多い。」というのはやや片面的、皮相的過ぎるように思う。

 

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