子①が手術室に入ったのは午後2時過ぎであった。

 

看護師が部屋に来て、「それでは行きますね。」と声を掛けてくれた。

 

手術室の入り口までは私が子①の車いすを押した。

 

 

 

子①の肝臓の異常数値について検討するため一旦中座した医師と再び面談したのは、医師が中座してから2時間後くらいであった。

 

それまでの間、小児病棟の病室で子①と一緒に連絡を待っていた。

 

部屋には小児がんの治療を受けていると思われる小学1年生の男の子が2人入院していた。

 

その内の1人の子は右手の肩から下を切断していた。

 

 

 

途中、麻酔科の先生が子①のアレルギーなどについてヒアリングに来られたほか、小児科の先生も、子①に対して手術をどのように伝えるかについて相談に来られた。

 

そのような経過を経て、再び執刀医に呼ばれたのである。

 

医師は言った。

 

「麻酔科の医師は『肝臓の数値がもう少し落ち着いてからのほうが良いのではないか。』という意見でしたが、小児科の医師の見立てでは小児脂肪肝の可能性も高いということであり、肝臓の数値を安定させることと腫瘍を摘出することとを秤にかけると、やはり早急に手術に踏み切ったほうが良いという結論に達しました。」

 

そして、病状についての説明資料を頂き、いくつかの同意書にサインをしたうえで、「予定していた先行手術が終わり次第お子さんの手術に入ります。」と告げられた。

 

このような経過を経て、子①は午後2時過ぎに手術室に入ったのであった。

 

 

 

子①が手術室に消えて行ってからの時間は形容し難いほど長かった。

 

院内付設のセブンイレブンでおにぎりを買って晩ご飯とし、ひたすら貸与のPHSが鳴るのを待った。

 

 

 

病棟から貸与されていた院内専用のPHSの呼び出し音が鳴ったのは午後9時半過ぎであった。

 

執刀医からであった。

 

「手術が終わりましたので、集中治療室の入り口のところまで来て下さい。」

 

 

 

急いで集中治療室に向かうと、ちょうど子①がストレッチャーに乗せられて手術室から出てきたところだった。

 

執刀医から「とにかく腫瘍はできる限り取り除きました。もう○○君は意識が戻りつつありますので、声を掛けてあげてみてあげてください。」と言われた。

 

私が涙声で「○○!」と声を掛けると、子①は「うーん…」というようなわずかな反応を示した。

 

誇張ではなく、手術に携って下さった先生方が神に見えた。

 

このあと準備が整い、集中治療室での面会が5分だけ許された。

 

 

 

それにしても…

 

早朝から夜遅くまで、医師たちは働き通しであった。

 

「見ず知らずの他人の子どものためにここまでしてくれるとは…」

 

医師には本当に頭が下がる思いであった。

 

 

 

その後改めて執刀医から手術についての説明を受けることになる。

 

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