婚活と小石川植物園

東京都文京区に小石川植物園という研究用の植物園がある。

都会の中心部とは思えない静かな別世界が広がっており、私は若い頃からここがお気に入りであった。

有料の施設であるが、その分、来訪者は植物や自然に関心のある人が多く、園内は静謐とマナーが確保されていて、不心得者などに気分を害されることもない。

私は若い頃、その時々の交際相手の女性を連れてよくこの植物園を訪ねた。

この植物園を気に入ってくれるような、穏やかでお散歩好きの女性と結婚できたらいいなと漠然と思っていたからである。

その後、５０歳を目前にして婚活界に身を投じた。

その際も私は、紹介された女性とある程度親しくなった場合には、意識的に小石川植物園にお誘いするようにしていた。

婚活会社からある歯医者さんを紹介されたときも、試しに小石川植物園へのお散歩を提案してみたところ、大変快く受け入れてくださった。

彼女は、ぶらぶら歩きが好きな私に合わせて結構長距離のお散歩にも付き合ってくれた。

ただ、そこまでは良かったのだが、この歯医者さんとは結局いろいろあって、成婚には至らなかった（「ある歯医者さんの逆恨み」参照）。

残念ながら、婚活会社から紹介された子④（妻）とは一度も小石川植物園には行っていない。

彼女がああいった場所に関心がないことは会ってすぐに判ったし、そもそも彼女は歩くのが嫌いでお散歩などもってのほか、というタイプだったからである。

人生もしやり直すことができたら、今度は、子どもを連れてお弁当を持って一緒に小石川植物園でのんびり過ごせるような人と家庭を築きたいな、とふと思うことがある。

特に、一気に春めいてきた今のような季節にとりわけそう思う。

※小石川植物園

年の差夫婦