回転寿司のチェーン店などにおける迷惑行為及びその動画等の投稿がしばしばニュースになっている。
似たような事案は、コンビニ店の冷凍庫に寝転んで撮影するとか、歩行者の歩行のみが認められている地下街を自転車で走行してその様子を投稿するなど枚挙に暇がない。
やっている連中はつまるところ想像力が不足しているわけなのだが、その種の行為の背景には、「クリック数を増やして広告収入につなげたい。」というような部分以前に、「目立ちたい。」「周りからウケたい。」というような極めて幼稚で単純な心理があるのではないかと思う。
テレビのバラエティー番組を観ているとよく判るのだが、出演者たちは周りからウケようと必死になっている。
いかに気の利いたお笑いトークを発するか、いかにゲストの女の子に笑ってもらうか、そればかりを考え、後先を考えず、傷つく人がありうることまで想像力を働かせることなく、ベラベラベラベラしゃべり続ける。
幼稚なお馬鹿さんたちの迷惑行為も、たぶんそれと似たような側面があるのであろう。
昔、中学のクラスに明るくて愉快な3人の男子が居た。
3人はクラスの友達に如何にウケるかを競い合っている節があった。
そこまではまあ良いのだが、そのうちの1人はブラスバンド部に属していた。
彼は元々は大人しくて控えめなタイプだったのだが、愉快な3人組の一人としてクラス仲間にウケることに味を占めたのか、徐々に言うこと・やることが受け狙いに特化し始めた。
体育祭のとき、彼が属するブラスバンド部は行進曲を演奏しながら入場行進を先導したのだが、彼はここでも目立とうとしてしまい、選択を誤った。
彼はスーザフォンのような大きな管楽器を担当していたのだが、あろうことか、彼は我々のクラスの着席場所の前に来たところで、わざと音程を外して受け狙いをしてしまったのである。
彼はいかにもおどけたようにクラスの席のほうを見て笑い顔を作っていたし、クラスの連中も彼の音程外しにどっと沸いていた。
しかし、彼の受け狙いの意図を知らない多くの人たち、特に当のブラスバンド部の部員たちは、日ごろの練習の成果を発揮できず折角の入場行進が台無しになってしまった、と感じたのではないだろうか。
その後何があったのかは知らないが、彼はほどなくブラスバンド部を退部した。
あとさきのことを考えず短絡的にお調子者を演じると、時に禍根を残すことがある。
回転寿司のチェーンでの悪ふざけ(といっても、偽計業務妨害罪、器物損壊罪等に該当しうる立派な刑事犯であるが)のニュースを観て、受け狙いに走り過ぎたあの彼のことを思い出した。
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