NHKに「小さな旅」という番組がある。

 

その昔は「関東甲信越小さな旅」という番組名だったが、関東甲信越ではネタが尽きたからか、あるいは人気が出て来たので全国版に拡大したのか、単なる「小さな旅」に題名が変更された。

 

この番組、悪い番組ではないのだが少し嫌味がある。

 

たとえば、旅人役のアナウンサーがどこかの鄙びた漁村を旅する。

 

「あれ、なんかいい匂いがするぞ。」そんなことを言いながら、いかにも今初めて見付けたかのように装って匂いのするお店に入っていく。

 

「すいませーん。これって何作ってるんですか?」

 

店の人は、「そんなの見りゃわかるだろうが。」と言いたいところを押さえて、事前の打ち合わせ通りに「地元の名産の○○を使って名物のお団子を作っているんですよ。」などといかにも説明的な事柄を作り笑いをしながら答える。

 

「へー、地元の名産の○○を使ったお団子ですか。ひとつ頂きたいなあ。」

 

旅アナは「地元の名産の○○を使ったお団子」という構成要素の部分をもう一度わざわざ復唱する。

 

「よかったら1本食べてみますか?」店の人はこれまた事前の打合せ通り、アナにお団子を1本渡してやる。

 

なんで旅の途中にたまたまお店を発見したような体裁を整える必要があるのか。

 

「事前に担当者が下見をしておりまして、このお店のお団子が結構いけるということだったので訪ねてみます。」これでいいのに。

 

かのエッセイスト東海林さだおさんも、この種のやらせを痛烈に批判しておられた。

 

やらせか、あるいはぶっつけ本番か、そのどちらかにしてもらいたい。

 

 

 

旅アナは漁船が係留されている漁港に足を延ばす。

 

他に人気は全くないのに、1隻だけ不自然に甲板作業をしている漁船がある。

 

「あのー、この辺今何が獲れるんですか?」

 

「タコだね。」

 

担当者からは「可能な限り愛想よく。」と指示されているのだが、「オレ、芸人じゃねえし、忙しいし。」ということで、何となく無愛想になってしまっているのである。

 

「へえー、タコですか。漁に同行させてもらっていいですか?」

 

「いいよ。」

 

本来、氏素性の判らない中年男を二つ返事で船に乗せてくれる漁師さんなどある訳がない。

 

漁師さんは漁師さんで、「愛想よく、って言われたって、そんなの一朝一夕に出来るかってんだ。」そんなことを思いながら渋々中年旅アナを乗せてやるため、無愛想に拍車が掛かっている。

 

 

 

とまあこの辺りが全て不自然で裏が見え、嫌味がある訳である。

 

無理して自然な旅を作出しなくても良いのに、いかにも視聴者を誤魔化しているみたいでちょっと不快でもある。

 

この番組にはもうひとつ嫌味なところがあって、それは、旅アナは二人とも山登りが好きなのか、「旅」と言いながらやたらと山に登って番組を私物化しているところである。

 

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