そんなの食うために決まってんだろうが

横須賀中央駅近くの崖。結構な高さがある。

「なんで人って働くんだっけ？」

某缶コーヒーの広告の文句である。

電車内の吊り広告でも目にしたし、何日か前には新聞の全面広告にもこれがあった。

しかし言ってはなんだが、少し嫌味がある。

そんなの食うために決まってんじゃねえか。

子どもを責任持って育てるために決まっておる。

「なんでペンギンって冷たい海に潜ってお魚獲るんだっけ？」

そんなのヒナを育てるために決まってんじゃねえか、ボケ！

それと一緒だってのが判んねえのか、この間抜野郎！

かなり言葉が汚くなってしまったが、当該広告を見て私の頭に最初に浮かんだ答えである。

私は元々缶コーヒーはほとんど飲まないが、仮に飲むとしても答えに変わりはないと思う。

件の広告には、自社の缶コーヒーを売らんがために、「まあそんなにあくせく働かず、缶コーヒーでも飲んで一服したほうが賢いですって。」みたいなお節介を感じる。

しかし多くの市民は、食うこと、生きることに必死で、「なんで人って働くんだっけ？」などと自問自答している余裕はない。

そんなこと言っていられるのは、親が地主でいつでも仕事を辞められる奴とか、オレオレ詐欺で濡れ手に粟の自堕落無責任野郎どもだけだ。

まあ別にどうでもいいんだけど、転職支援会社が「本当にその仕事で満足してるのですか？」とうるさく問いかけてくるのに似ていて嫌な感じがした。

たぶん件のキャッチコピーは、働くことの意味を自問自動しうるやや青い独身サラリーマンなど、缶コーヒーを嗜む者の割合が多い集団を念頭に置いているのであろう。

還暦過ぎて子育てに追われているジジイなど最初からターゲットにしていないのだろうな、と感じられてちょっぴり腹が立った。

アラ還オヤジ