子①が描いた恐竜対決(?)の絵
50歳を目前にして婚活を開始した私は、自分より一回り以上年下の方を求めて戦場に突撃していった。
しかし、私が交際を申し込んだ方々、すなわち私の希望年齢の範囲内におられる方々は、皆一様に「ごめんなさい。」という趣旨の返事を返してきた。
それはまあそうかもしれない。
皆さん髙いお金を払い、ご自分の満足や幸せのために大事な活動をされているのだ。
他方で私には、経歴や収入の面では申し分のない、女医さんや大手企業のバリキャリ、スチュワーデス出身の航空会社管理職の方等々が交際を申し込んできてくださった。
私は、年齢的な条件のことはひとまず脇に置いて、それら交際を申し込んできてくださった人たちとは、時間の許す限り積極的に会うようにしていた。
それらの方々の多くは、所作振舞いの端々に思いやりや穏やかさが感じられ、知識や教養の面でも申し分がなかった。
話していても楽しく、心豊かな気持ちにさせてくれ、「この人と一緒なら…」と思わず二人での将来を思い描いてしまうような魅力的な人たちであった。
しかし、家に帰って冷静に考えると、「やはりお断りした方が良いかな。」と思うに至る。
確かに、それらのお相手と一緒になれば、残された人生を精神的にも経済的にも不自由なく穏やかに暮らすことはできるものと思われた。
しかし、かつて家族形成に躓いた私が婚活を始めた動機のひとつである「私や私の父母のことを記憶に留め、語り継いでもらうこと。」には繋がりにくいと思われた。
「あと○年早くこの人と出会っていれば…」と何度思ったことか。
しかしそれもこれも皆自業自得、考えても仕方のないことであった。
そのようにして私は5年以上に渡って婚活市場を彷徨した。
それらの人の何人かについては、子どもと散歩している最中などにふと「あの人今ごろどうしているだろうか。」と頭を過ることが今でもある。