呉市安浦中央保育所に、絵本を届けに行きました。
明るい園庭にはきゃっきゃとにぎやかな声が響き、鯉のぼりも上がっていました。
西日本豪雨災害で浸水し、元の場所に戻るまで、9ヶ月もかかった保育所です。
お互いの安否や園児の安全に気遣いながら、ようやっと笑顔が戻ってきました。
折しも、伺った日は激しい雨が降った翌日。頭の中にあの怖さが、まざまざと思い出されたばかり。所長さんとお話しをすると
「いまだに雨が降ると怖がる子がいます。あの時のような事が起きてしまったら、どうしよう。私たちも不安です」、と顔を曇らせました。
それでも、無邪気に遊ぶたくさんの子どもたちの姿。
「わぁ、楽しそうな絵本がいっぱいだねぇ」
「全部もらって本当にいいの?」
「早く読みたいなぁ〜〜」
弾むように可愛いらしい声が聞こえます。子どもは未来の夢のたまご。
温かく迎え入れてくれた先生や子どもたちに、こちらが癒されました。
朝日新聞の記者さんと取材したMさんのお家にも立ち寄ると、たまたまご在宅で久しぶりの再会を喜び合いました。土砂が入り込んだお家はすっかりきれいになり、バラバラだったご家族も今はみんな一緒に住んでいます。
Mさんの隣とそのお隣は、被害を受けて帰らないまま。
家の裏手は護岸工事が行われていました。
(2018年8月)豪雨災害から1ヶ月半
(2019年5月)豪雨災害から10ヶ月
「工事はしているんだけど、以前の川より、川底が浅くなって川幅が狭くなった。大雨が降っても大丈夫なのか心配です」、と不安を口にしました。
確かに、工事はしているものの、家のすぐ裏手がこのままの状態で雨の季節を迎えるのは厳しい。
それでも、ここに戻る決断をした以上は、覚悟をして暮らさねばなりません・・・。
災害復興の時は、大変お世話になった「信楽寺(しんぎょうじ)」さんにも立ち寄りました。
数多くのボランティアの受け入れや、支援物資の拠点となって奮闘してきたお寺です。
今も「仮設住宅に入っている時は、ささえあいセンターの人が話を聞いてくれるけれど、自宅に帰ると孤立するのではないか」と心配し、てらかふぇ、おてランチ、音楽、手芸のイベントなどを企画して地元の皆さんの声に耳を傾け、交流を深めています。
それぞれの暮らしを取り戻すために、日々の小さな営みを積み重ねる。
子どもたちが元気で大きくなりますように。
安心して暮らせますように。
起きて、働いて、食べて、寝て、祈る。
ややこしい事情も見え隠れしますが、足を引っ張りあわず、手を取り合っていけたらいいのになぁ・・・と思います。