178)タイトル:点字はじめの一歩③点字とくらす 著:黒﨑惠津子 出版社:汐文社 | クレクス先生の児童書ナビブログ

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とある小学校の図書館で司書をしています。
仕事で出会った素敵な絵本や児童書の中からオススメの本を紹介したいと思います。
(たまに児童書以外も紹介します。)

 3人の視覚障害者の日々の生活を紹介し、それぞれの点字との付き合い方を紹介した1冊。12歳の女の子、45歳の子育て中のお母さん、25歳の独身で一人暮らしの男性、と生活スタイルの全く異なる3人が選ばれているため、様々な側面から点字について考えられる1冊になっています。

 この本の特徴は、とにかく自然なこと。とかく「障害」「バリアフリー」関係の本は、固い印象の本が多く、「真面目にお勉強しなくちゃ」という気持ちになる本が多いですが、この本はとてもソフトですんなり読み進めることができます。また、障害の有無にかかわらず、「人はそれぞれ違う」「視覚障害を持っている人にとっての点字も、思うことはひとそれぞれ」ということを感じました。その上で、「点字はどのように読み取っているのか」「一人暮らしで困ること」「絶対にしないで欲しいこと」など、知りたい情報が満載です。「見える人」「見えない人」の線引きをし、「見える人が見えない人を助けよう」というスタンスではなく、「みんな一人一人違うのは当たり前。できることをできる人がやり、それぞれ充実した生活が送れるといいよね」というとてもフラットな姿勢を感じました。ヨシタケシンスケさんの「みえるとかみえないとか」と同じ雰囲気を感じる1冊です。中学年から。