映画話の続きです。
「赤ずきんちゃん気をつけて」を書いて思い出したのですが、
同時期、または同時上映で鑑賞をしたのが
「裸の19才」
永山則夫の生い立ちをセミドキュメンタリーとして製作した作品です。
監督は新藤兼人なので、
当然のごとく社会派映画(死語)でした。
永山則夫とは、
無差別に4人を殺し
死刑囚になった犯罪人です。
4人以上の殺人を犯さなければ死刑にならないという
都市伝説的な裁判の判例「永山基準」
のもとになったと言われる人物です。
服役中、支援者と交わした書簡が
「無知の涙」というタイトルで出版されたり
小説を発表したりと、当時の有名人でした。
この映画は
「彼の犯罪を誘発した原因は貧困である」 そのような内容でした。
彼の書簡集「無知の涙」は、当時、勢いで購入したものの
私には合わず、途中で読むのをあきらめています。
この映画も重苦しさに耐えきれず、
10代の私には見ているのが負担でした。
「赤ずきんちゃん~」・「裸の19才」
双方とも同世代の青年の日常生活を描いたものですが、
人は生まれながらにして不平等であることを実感させてくれます。
努力を重ねても貧困から抜け出す言ことができない現実を
社会矛盾として対比していたのかもしれません。
前者の映画に登場する女子高生の最大の悩みは
バレンタインデーのチョコレートがうまく作れないこと
後者に登場する永山の姉(実在)は、
貧困を理由に村の人たちから差別を受け、
村の青年たちからの度重なる輪姦を受けても抵抗できない世界
(後に姉は堕胎、精神科へ)
近代映画協会の作品は、
社会的ヒューマニズムという言葉を
売りにしていた内容の作品が多くみられましたが、
それゆえ、暗い印象の映画が多かったです。
当時は永山則夫への生い立ちから支援者が多く、
社会が生んだ犯罪のような取り扱われ方もしていましたが、
最近の読者の書評では、
批判的なものが多くなってきたようにも思います。
母親が映画のビラ下券をよくもらってきたので、
月に10本以上は映画を観ました。
この映画の鑑賞後
映画の題名だけで判断した母親から
「今回はいやらしい映画だったのね。」と判断されたので、
言い訳をした思い出があります。
同時上映を調べたところ
ジョージ秋山の「銭ゲバ」でした。