反省したんだと思っていた
それからしばらく妻はおとなしくなっていた
あの夜の翌日
妻と話し合った
…許してほしい
妻は僕に懇願した
母親として、妻として
しっかり立ち直るから許してほしいと言ってきた
妻は不倫をする3年前乳癌を発症し闘病していた
症状は悪く右乳にできた癌の病巣は5.5センチもあった
二年半の闘病生活を終えて帰ってきた妻は
しっかり病気と闘った体を休ませるため妻は
実家に里帰したいといった
頑張った妻を誇らしく感じていたし
休んでほしかった
退院後の半年間
抗がん剤の副作用で太った身体を元に戻すのだと
ジムに通いダイエットに励んでいた
身体をスリムにして里帰りしたいと言っていた
しきりに故郷の友達にも連絡を取るようになっていた
死ぬ思いをしたから
いろんな人たちに会いたくなったんだと思っていた
しかし結局は
元カレに会いたいがための帰省に過ぎなかった
しきりに友達に連絡を取っていたのも
元カレの連絡先や状況を調べていただとわかった
死を意識した後の人生を
自分の好きなように生きようと考えていたに過ぎなかった
話し合いの中で彼女が話したことだった
「別居」
僕が出したこたえだった
妻は「最後のチャンスをください」
「夫婦の関係は許してもらえないかもしれない」
「でも子供たちの母親として、やり直したい」
と懇願した。
結局、四人の子の母親として
しっかり立ち直ってほしい
それを見てから今後のことは考えたいということで
別居は保留することになった
僕自身、何かに賭ける思いだった
しかしその僅かな期待が、ほどなく失望へと変わるのに
そう時間はかからなかった
つづく