読書記録「家族最後の日」 | 緑を泳いで

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「家族最後の日」

植本一子著



去年か一昨年か、「かなわない」を図書館で借りたが読みきれず、

植本さん作品のリベンジ。

今回は立ち止まることなくするすると読み進み、久しぶりに図書館の「貸出延長」をせずに返却できそうだ。


家族との3つのキャプチャーに分かれている。

とにかく赤裸々で、家族に対する嫌悪感、それは義理の父に対してのものでも、家族だけじゃなく近しい友人に対してのものも、綴られている。

わたし自身、母との別れや、父の闘病について思い出さずにはおられず、特にECDのガン闘病のキャプチャーでは、「死ぬかもしれない」という不安を生々しく思い出したりした。

家族への愛情と、自己の自律と。癒着しそうなそれらを、世間からどう見られようとも、うまく切り離しているようにも見える。


「自分の心が見えない。触れない。そういう人を見たら、ああこの人はどんな嘘を自分につきているのかな?って思いますね。何かから目をそらすために怒りが必要な人。本当に怒るべき相手に怒らないから当たり散らす人なんです」


というカウンセリングの先生の言葉と、

あとがき最後の一子さんの、


「変わることを受け入れること。それは何より自由で、大切なことだと思う」


という言葉がなるほどポイント。

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