『知られざる海上保安庁 ―安全保障最前線』奥島高弘(2024年、ワニブックス) | 倉山塾東北支部ブログ

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知られざる海上保安庁 - 安全保障最前線 -

 

海上保安庁と言えば

尖閣諸島にいる

チャイナの海警局に

対峙するイメージがある。


海警局は人民武装警察の直轄組織

なので軍隊化している。


船も装備も強化されるので

対峙するためには海上保安庁も

軍隊化すべきと思っていた。


だがその考えは改めたいと思う。


まず海保が法執行機関であるメリットがある。

紛争回避に資する機能は

紛争リスクの最小化に重要だ。

自国も相手国も全面紛争は避けたい。


海保の任務は国民保護だ。

軍隊化すれば軍事目標になるので

攻撃され轟沈するリスクが増大する。

これでは国民を保護できない。


さらに船の装備や戦闘力が

軍隊に準ずるレベルになるまで

コストはどれくらいか。

限られた資源で担当領域が広がると

任務が中途半端になると思う。


海保の軍隊化によるメリットは薄く

コストやリスクが多いと考える。


有事では防衛と国民保護が求められる。

リカードの比較優位を考慮すると

自衛隊と軍隊化した海保が

単位コスト(一隻あたり等)で

敵を叩ける数と国民を保護できる人数は

それぞれどれくらいか。


法執行機関としての海保と

軍事機関としての海保で

能力がどのように変わるか。


自分は自衛隊と現状の海保、

各々の得意分野で実行すれば、

防衛と国民保護を同時に

遂行できるので効率的と思う。

無理して軍隊化する必要はない。