渡部悦和・尾上定正・小野田治・矢野一樹『台湾有事と日本の安全保障 日本と台湾は運命共同体だ』読了。
本書は自衛隊の元将官(陸将(渡部氏)・海将(矢野氏)・空将(尾上・小野田氏))4名の共著。
構成は、
はじめに
第一章 米中覇権争いと中国の安全保障戦略
第二章 米国の安全保障戦略
第三章 劇的に変化する朝鮮半島情勢
第四章 重要性を増す台湾
第五章 シミュレーション:第四次台湾海峡危機
第六章 日本の安全保障を考える
おわりに
というもの。
やはり重要なところは第一章~第五章を受けて、さあどうするかというところの第六章のように思う。
とはいうものの、結論としては予算の問題(GDP比2%、防衛費倍増を)、法体系の問題(ポジティブリストからネガティブリストへ)、憲法典の問題(9条の改正を)、「諜報機関の充実」、「原子力潜水艦の保有」、「専守防衛から積極防御へ」といったところへ落ち着いているので、何か新しいものを発見するというよりは、日本を取り巻く状況の確認とどうしなければならないかという対策の確認、という形で読むといいのではないかと思った。
敢えて一つ付け加えるとすれば、本書では憲法9条の改正と言っているが、憲法典の条文をいじらなくとも、池田勇人内閣の頃まで、すなわち昭和39年以前の憲法解釈に戻すだけで強い自衛隊にすることはできるのでは、というところだろうか。
東アジア情勢に関心のある向きには読んでおいて損はない一冊だと思った。