となりのせきのみほちゃんはちょっとたよりない女の子。
ぼくは親切にしているだけなのに、みんな誤解してるのだ。
「ますだくん」シリーズ第3作。

<あらすじ>

今日から授業が始まります。となりの席のみほちゃんはちょっとたよりない女の子。

授業中、答えがわかっていても手をあげないし、好き嫌いが多くて、嫌いなものがたくさん入ったクリームシチューを見ただけで家に帰ろうとしてしまいます。

ますだくんがそんなみほちゃんをほっておけずに親切にしようとすると、みんなにいじめたと言われ先生に叱られてしまいます。

そんなある日、みほちゃんが学校を休みました。でもますだくんはあやしみます。だって、今日はクリームシチューの日だから。

ますだくんは学校の帰りにみほちゃんの家へ行ってみることにしました。





「ますだくん」シリーズ第3作目です。

今回のお話は、ますだくん視点でのお話です。


ますだくんはみほちゃんに親切にしているつもりなのに、どうしても周りからは「いじめてる」と誤解されてしまいます。

でもめげないますだくんが素敵です。


だけどたまにはいじわるな気分になることもあります。でもこれも好意の裏返しなんでしょうね。

そして起こった事件が、「となりのせきのますだくん 」に出てくる鉛筆騒動です。

「となりのせきのますだくん」では、みほちゃんの鉛筆をますだくんが折ってしまったので、怒ったみほちゃんが消しゴムを投げつけてけんかします。

そのいきさつが、今回の作品ではますだくん側から見ることができます。


みほちゃんの視点だと、ますだくんは怪獣みたいに怖いだけ。

でもますだくんはますだくんなりに、いろいろと考えているんですよね。

こういう別視点で同じストーリーをおう話はけっこう好きです。それぞれの気持ちがわかっておもしろいです。


乱暴で口の悪いますだくんは、自分でも気づかないうちにみほちゃんを威圧しているのに、本人それに気づかないで「うさぎのピョンってぼくみたい」と思っているあたりがかなりいいです。

ちなみにうさぎのピョンとは、先生が、あまりにますだくんがみほちゃんをいじめるので、それを直させようと演った人形劇に出てくるうさぎです。

先生はいじめられるピョンがみほちゃんで、いじめるトラのガオがますだくんのつもりだったのに(笑)


この絵本では、ますだくんとみほちゃんは白目ありとなしの両方が描かれているので、ここが白目ありからなしへの移行地点だったんですね。



武田 美穂
ポプラ社
ますだくんの1ねんせい日記 (えほんとなかよし)