丸木美術館へのいきかた | Kura-Kura Pagong

Kura-Kura Pagong

"kura-kura"はインドネシア語で亀のことを言います。
"pagong"はタガログ語(フィルピンの公用語)で、やはり亀のことを言います。

 

 埼玉県東松山市に丸木美術館がある。丸木位里、俊の夫妻が描いた『原爆の図』を収蔵、展示した美術館だ。

 

 

  上に張り付けた写真は丸木美術館のそばを流れる都幾(とき)川を写したものだ。このように丸木美術館は景色のいい場所に建つが、それと引き換えに交通は不便だ。この美術館へ行く最も現実的な方法は東武鉄道東上線森林公園駅からタクシーに乗る、というものだ。丸木美術館ホームページによると森林公園駅から美術館までは所要12分。運賃は片道1、500円くらいだろうか。

 それなら快適でいいが、気候の穏やかな日ならば歩くのもよいではないか。そう思って2023年3月21日、まあまあの天気の日に丸木美術館へ行ってみた。

 丸木美術館の最寄り駅はつきのわ駅。森林公園駅の次の駅だ。その南口を出て、広いが人通りも車通りも少ない道を進む。

 

 

 やがて目の前に武蔵嵐山病院が現れ、道は国道254号線と交差する。その国道を渡って道なりに行く。病院職員向けの駐車場を左に見ながら進んで二つ目の角を右に曲がる。

 途中喫茶店を左手に見ながらまっすぐ進むと突き当りがあるのでそこを右に曲がるとすぐに三差路だ。

 ラーメン屋を左に曲がって埼玉県道344号線を少し歩くとひかり食堂という定食屋のそばに丸木美術館の広告がついた電柱が建っているのがみえる。そこで右に曲がる。(なお、つきのわ駅周辺にも丸木美術館周辺にも食事のできる飲食店は見当たらない。美術館見学の前後に昼食と摂るならラーメン拓美、ひかり食堂もしくはその東隣の増田屋(日本蕎麦)、ということになるだろう)

 

 右に曲がって突き当りが浄空禅院というお寺があるので、そこを左に曲がるとすぐに丸木美術館の看板がみえるのでさらにそのかどを左に曲がると丸木美術館である。

 

 この工程をグーグルマップに描きこんだのが下の図だ。

 

 

 さて、丸木美術館は『原爆の図』を収蔵、公開している、と冒頭に述べたが、この美術館の画はそれにとどまらない。ビキニ環礁の水爆も、アウシュビッツも、南京大虐殺もそして戦争に限らず水俣病のような公害も丸木夫妻は描いている。原爆にしても、被害を受けたのは日本人だけでない。強制連行などにより広島にいた中国人や朝鮮人、そしてアメリカ人捕虜、そういった人々に焦点を当てた画もある。

 すべての不条理は根を同じくしているのだ。

 

 そしていまこの美術館では東京大空襲やハンセン病患者差別をテーマにした企画展をやっている。

 下のビラは趙根在(チョウ・グンジェ)の写真展のもの。ハンセン病患者にして朝鮮人、二重の差別を受けてきた人たちの写真が数多く展示されている。とりわけ、粗末な棺に納められた一人の患者の遺体の写真が心に残った。長年の病で指を失った手が数珠を持たされ合わされている。そこにかろうじて認められた人間としての尊厳。